液体コーヒーの選択肢広がる 豆不使用、機能性、ラテ細分化で各社が新提案
液体コーヒー市場で、商品を選ぶ軸が広がっている。2026年1~8月の市場は数量ベースで前年同期比1%減、金額ベースで5%増(本紙調べ)。価格改定などで金額は伸びる一方、数量は前年を下回る。各社は定番商品の強化に加え、機能性や新たな飲用シーン、ラテの細分化、豆不使用の商品など、これまでにない提案を広げている。
その象徴的な動きの一つが、豆不使用商品の登場だ。気候変動による栽培適地の減少が懸念される「コーヒー2050年問題」は、業界で広く意識される課題となっている。ダイドードリンコは10月5日、コーヒー豆や香料を使わない「ダイドー グッドラテ2050」(260gボトル缶)を数量限定で発売する。同問題に着目して開発した商品で、ひよこ豆とチコリを組み合わせてコーヒーらしい香りとコクを再現した。
同社は単なるコーヒーの代替品でなく、将来にわたってコーヒーを楽しむための新たな選択肢として提案する。
アサヒ飲料も、代替素材を使った「未来のBLACK」「未来のLATTE」の商品化を進める。世界的なコーヒー消費量の増加や、気候変動による栽培適地の減少などを背景に開発。両品とも2027年以降の発売予定だ。
代替コーヒーへの関心は他社でも広がっており、複数の大手飲料メーカーが今後の動向を注視している。
コカ・コーラシステムも、2050年問題を見据えながら具体的な商品設計や需要開拓まで踏み込む。9月21日、「ジョージア カフェウォーター ブラック」(500mlPET)を発売した。水のような軽い飲み口とコーヒーの味わいを両立し、コーヒーの苦味や渋味が苦手な若年層や、価格上昇などで購入頻度を減らした層への新たな入り口として育成する。
日本コカ・コーラの担当者は、「この商品を入り口にして、最終的にはコーヒーそのものの味わいも楽しんでもらいたい」と話す。既存コーヒーの代替にとどめず、コーヒーカテゴリーの裾野を広げる商品に育てる考えだ。
味覚とは異なる選択軸では、機能性への取り組みも進む。UCC上島珈琲が3月に発売した機能性表示食品「TOTONOU by BLACK 無糖」(500mlPET)は、上期の販売が計画比約200%と好調に推移した。機能という新たな価値を付加し、新規ユーザーの獲得につなげながら定番化を進める。
既存の主力カテゴリーでも選択肢は細かく分かれ始めている。中容量PETではラテの提案が広がる。サントリービバレッジ&フードの「クラフトボス」は、「カフェラテ」に加え、「甘くないイタリアーノ」「ミルクラテ」(500mlPET)を展開。「甘くないイタリアーノ」をブラック、ラテに続く3本目の柱として育成する一方、「ミルクラテ」ではミルク感を前面に出し、コーヒーの苦味が得意ではない層にも需要を広げる。
伊藤園は10月5日に「TULLY’S COFFEE Seattle Style(シアトル スタイル)」(500mlPET)シリーズを投入する。ラインアップはブラックとカフェオレの2品。飲みやすさを重視した商品が多いペットボトルコーヒー市場に対し、タリーズらしいしっかりした味わいを提案する。
液体コーヒー市場は、原料高や将来的な供給不安と、数量が伸びにくい成熟市場という二つの課題を抱える。そうした中、各社の提案は、ブラックかラテかといった従来の選択肢から、味覚、機能、飲用シーン、さらには原料そのものへと広がっている。
新たな選択肢を増やし、これまでコーヒーを選ばなかった人や場面まで需要を広げられるかが、今後の市場活性化のカギとなる。







