【山崎製パン】「絹生食パン」の生地使ったドーナツなど好調、自社業態の売上も回復【冷凍パン特集#6】
山崎製パンではこれまで取り引きのなかったドラッグストアや外食チェーンなどの開拓を進めるとともに、製品開発で品質のさらなる向上に取り組んでいる。
外部向けの販売は、人手不足を背景に焼成後冷凍製品などの需要が引き続き高く、ベーカリーだけでなく、外食チェーンやドラッグストア、大学生協、道の駅など多様な販路に製品提案を強化している。
米の価格上昇に伴い、米系製品からパンや麺などの小麦を使った製品への切り替えが見られるため、総菜パンの開発を強化し、夏場においても売上が好調に推移した。また、食品の値上げ、高熱水費の高騰により節約志向が強まっており、満足感のある高付加価値製品と値ごろな製品の両面で訴求し、販売の拡大を狙う。
生産統括本部冷凍生地生産本部冷凍生地生産第二部長の芳野靖弘氏は「お客様の多様化がより鮮明になっており、ターゲットをしっかり決めて対応している」と話す。
自社業態では、小売事業業績改善プロジェクトにより既存店の売上はコロナ前の水準まで回復しているという。デイリーヤマザキなどの小売店で「デイリーホット(できたてパン)」の強化を進めたほか、「空飛ぶドーナツ」や「こぼれるクリームパン」などヒット商品を送り出している。
最近では、高付加価値のデニッシュ製品「ミルフィーユブレッド」が好評を得た。パンの販売が落ち着く夏場には、ボリューム感のある惣菜パンを投入し、売上の拡大につなげている。
また、プチパンやドーナツの提案も強めており、節約志向の高い顧客ニーズにも対応している。
さらに、「サンエトワール」で販売している「絹生食パン」の生地を活用した商品の展開も強めている。「絹生ドーナツ」は、もっちりとした食感の食べ応えのあるドーナツで、「ダブルソフト」の大幅な品質改善を実現した新規技術を活用して品質向上を図り、「サンエトワール」で広く支持されているという。この生地を水平展開し、デイリーヤマザキの店舗ではその生地を活かした商品「ビックリングドーナツ」を販売している。

芳野氏は「我々は品質を大事にし、高付加価値製品や、普及価格帯製品、低単価製品の3つで製品開発を進めている。お客様に喜んでいただける製品、取引先様の要望に応える製品をより多く送り出すため、技術の前進に挑戦し、継続して品質向上に取り組んでいく」と語った。
〈冷食日報 2025年12月17日付〉







