ヤクルト本社、乳酸菌 シロタ株含有乳製品を週3日以上摂取した男性高齢者で全死亡リスク低下 9年間の「中之条研究」を研究担当者が解説
ヤクルト本社と東京都健康長寿医療センターは、乳酸菌 シロタ株を含む乳製品を習慣的に摂取している男性高齢者で、全死亡リスクが有意に低かったとする疫学研究の結果を発表した。
群馬県中之条町の65歳以上の住民を長期追跡した「中之条研究」によるもので、男性では過去5年間に乳酸菌 シロタ株含有乳製品を週3日以上摂取していた群の全死亡リスクが、週3日未満群に比べ有意に低かった。特定の乳酸菌株を含む食品の習慣的な摂取と全死亡との関連を示した初めての疫学的知見としている。
この研究を担当した中央研究所 食品研究所食品第五研究室の牧野博室長は9月11日、研究の背景や結果について説明した。
ヤクルト本社中央研究所と東京都健康長寿医療センターは2014年から、中之条町の高齢者を対象に、乳酸菌摂取と健康との関連を調べている。健康診断や食事、排便状況、乳酸菌 シロタ株含有乳製品の摂取頻度などを調査し、住民の健康状態を追跡してきた。これまでに、高血圧や貧血、便秘などとの関連を報告している。
今回の解析対象は1,280人で、男性519人、女性761人。平均年齢は73.5歳だった。2014~2018年に研究へ参加した住民を2025年末まで追跡し、平均追跡期間は9.3年。過去5年間の乳酸菌 シロタ株含有乳製品の摂取頻度に基づき、週3日未満と週3日以上の2群に分け、男女別に全死亡との関連を解析した。
〈男性で全死亡リスクが有意に低値〉

男性519人のうち、週3日以上摂取していたのは118人、週3日未満は401人だった。
年齢、BMI、飲酒、喫煙などを調整した解析では、週3日以上摂取群の全死亡リスクは週3日未満群に比べ有意に低く、ハザード比は0.648、P値は0.030だった。生存率も週3日以上摂取群で有意に高く推移した。
背景因子をそろえたマッチング解析でも、週3日以上摂取群で全死亡リスクが有意に低かった。生存期間は週3日未満群より9.8カ月長かった。
女性では有意な関連はみられなかった。研究期間中の死亡率が男性28.3%に対し女性15.0%と低く、追跡期間が十分でなかった可能性があるという。
〈「いろいろなことが統合的に作用」〉

牧野氏は今回の結果について、「死亡というのは、本当にいろいろなことが統合的に作用する」とした上で、「シロタ株は免疫調節や感染防御、腸内環境改善など、様々な健康作用が認められており、 少なくとも、例えば感染症の予防や、病気になりにくい状態をつくること、腸内環境を良くすることが結果として健康維持につながり、 重要な因子につながっているのだろう」と話した。
結果を見た時の受け止めについては、「素直にうれしい」とし、「特定の商品、食品が寿命の延伸にひょっとしたらつながる可能性があることを初めて示すことができたのは非常に大きなことだった」と述べた。
さらに、「こういう研究は非常に長い期間が必要になる。昔から長く皆さんに愛飲されていた実績があったからこそできた研究だと思う」と振り返った。
なお、今回の研究は日常の摂取状況と全死亡との関連をみた疫学研究であり、乳酸菌 シロタ株含有乳製品の摂取と全死亡との因果関係を示したものではない。
研究成果は学術誌「The Journal of Nutrition, Health and Aging」の2026年8月18日付電子版に掲載された。







