味の素AGFが中元ギフトの活動を強化、高級感・季節感・原田知世で“贈る”文化を守る
同社の古賀大三郎リテールビジネス部長は、このほど行われたオンライン説明会で、「中元期に向けては、精力的な活動を行う。ギフトメーカーとして、きちっと生活者に支持される商品を、世の中に出していきたい。当社は、季節感・限定感、高級感・プレミアム、個食・パーソナル、健康栄養といった4つの開発テーマで提案する。生活者のみなさまにとっても大切なギフトという伝統を守っていきたい」とした。
AGFのギフト活性化に向けた思いは、商品だけでなく、コミュニケーションにも表れている。今年から「ブレンディ」ブランドの顔である原田知世さんを、同社の活動全体をサポートする形にし、初めてギフトのCMでも起用する。同社の竹内秀樹副社長は、「春夏ギフトは、いくつかの大きなチャレンジを行う。今年から原田知世さんにはAGFの活動全般でご登壇いただく形になり、特にギフトでは、原田さんの持つ安心感をいかんなく発揮していただこうと思っている」と話した。なお、同CMは、6月15日から6月28日まで、BSで30秒CMを放映する予定。年々需要が高まるスティックギフトを幅広い世代に訴求するねらいだ。
コーヒーを中心とした「AGFギフト」では、昨年の冷夏でリキッドコーヒーが苦戦する中、プレミアムタイプの市場が前年比2%増になった。同社はプレミアムタイプに瓶製品と昨年投入したポーションコーヒーギフトが前年比20%増と拡大し、リキッドコーヒーギフトにおける市場シェアは53%まで高まっている。
2020年は、「ちょっと贅沢な珈琲店」アイスプレミアムギフトに新品種として「ブラジル最上級グレード豆♯2」を導入。「グアテマラ最上級グレード豆SHBブレンド」と「タンザニア最上級グレード豆AAブレンド」とともに商品強化を図る。デザインは、金キャップから黒のマット調のキャップを採用し、ワインのような高級感を感じられるようにした。瀧川直美ギフト開発グループ長は、「発売6年目になるが、こうした製品改定を続けることで、リキッドコーヒーギフトのシェアトップブランドとして市場をリードしたい」とする。
AGF「ちょっと贅沢な珈琲店」アイスプレミアムアソートギフト、味の素ブランド「オリーブオイル パーソナルアソートギフト」
なお、「ちょっと贅沢な珈琲店」アイスプレミアムシリーズでは、ジュースとのアソートタイプとして、広島県産の“温州みかん”と“はるか”の、それぞれ果汁100%ストレートジュースを詰め合わせたギフトも新発売している。
ポーションギフトは、市場に先駆け昨年AGFが初めて挑戦し、一時欠品となるほど好評となったもの。これまでにないお洒落な感覚が受け入れられたという。今年は、30代以下の若年層にアプローチするため、コーヒーに加え、抹茶オレやギフト限定の完熟苺オレといったノンコーヒーのポーションを導入。手土産需要も高いため、低価格帯の通年商品も用意している。
さらに、コラボ商品にも挑戦しており、グリコの「コロン」とコラボした「AGFコーヒー&スイーツアソートギフト」を発売。夏でも溶けないクッキーであり、今年誕生50周年を迎えるロングセラー製品の「コロン」とコラボし、コーヒーに合う「クリームコロン〈大人のミルク〉」を、ドリップコーヒーとスティックコーヒーにアソートした。瀧川グループ長は、「コーヒーアソートギフトの贈答者は、購入までに洋菓子ギフトを候補にしている方が多いため、コーヒーとお菓子のセットにすることで、食卓を囲んで楽しみたいという声にお応えする」と話した。
一方、調味料や食用油などを展開する「味の素ブランドギフト」では、前年比6%増と市場が伸長するオリーブオイルの新商品を投入する。いつでも開けたての個包装タイプで、鮮度を閉じ込めたフレッシュな香りが楽しめるオリーブオイルとアマニ油の「オリーブオイル パーソナルアソートギフト」である。大さじ1杯の適量サイズで個食化に対応する。
また、新鮮なオリーブ果実の風味にこだわった「オリーブオイル エクストラバージンプレミアム フルーティアギフト」のパッケージデザインを変更する。摘みたてのオリーブをそのままの状態で12時間以内に搾ることで、フレッシュでフルーティーな風味を最大限に引き出した。
さらに、昨年好評だった「『クノール』夏の冷たいスープギフト」は、冷たい牛乳でつくるスープと温かいスープを詰め合わせた「クノール カップスープ」のギフト。ギフトらしい上質感やプレミアム感のあるパッケージデザインに刷新している。
同社は、コーヒー、調味料、食用油ギフトにおける贈答者への独自調査を行い、「贈答先との親しさ」について調べている。その結果、“あまり気を遣わない”が49%を占め、“多少気を遣う”が35%、“気を遣う”が16%となり、“あまり気を遣わない”親しい関係の贈答が年々増加傾向にあるとした。また、特に中元ギフトにおいては、「季節感」を感じられるコミュニケーションとしてのギフトがトレンドになっているとする。
このような消費者ニーズを踏まえ、商品とコミュニケーションを中元期から積極展開し、日本が守り続けてきた「贈る」という絆をつなぐ文化に新しい価値を加えて、ギフト市場の活性化を図る考えだ。
味の素AGF 瀧川直美ギフト開発グループ長、古賀大三郎リテールビジネス部長