香りにこだわる「烏龍茶」発売、“世界初の無糖茶飲料”から新提案/伊藤園
同社マーケティング本部の内山修二副本部長は、このほど同社で行った発表会で、「40年以上前から中国で烏龍茶を研究してきた当社の先人の教えを受け止め、緑茶や中国茶といった分類で考えるのではなく、“香りを愉しむお茶”というものが、これからの市場成長のカギになる。そこに向けて当社は世界のティーカンパニーとして、いろいろなお茶で市場を創造していきたい」と語った。
伊藤園の「缶入りウーロン茶」は1980年に白いロング缶で誕生し、翌年から黒いショート缶を全国発売した。その後、同製品の製造技術が「缶入り煎茶」につながり、容器バリエーションも広がったことで無糖茶飲料市場は販売数量が拡大し、現在では全清涼飲料の販売構成比の49.9%を占めるに至っている(伊藤園調べ)。ただ、その中心となったのは緑茶飲料であり、烏龍茶飲料市場は、1994年の2713億円をピークに伸び悩み、2019年は650億円まで減少している。
伊藤園 ウーロン茶の歴代商品
なぜ、そのような売れ筋とはいえない烏龍茶に、伊藤園は改めて注力するのか。それは現在、ほうじ茶やむぎ茶、ジャスミン茶など、心地よい自然の香りのお茶や無糖紅茶の飲料が伸びていることに着目したためだ。
烏龍茶は、緑茶と紅茶と同じカメリアシネンシスから作られ、茶葉の発酵を途中で止めた「半発酵茶」である。つまり、発酵茶の紅茶と不発酵茶の緑茶の間に位置するお茶だ。同社によれば、烏龍茶は、「三紅七緑」(さんこうしちりょく)と呼ばれる茶葉の3割が赤く発酵し、中心部の7割が緑の状態が、最も良い香味が醸し出されるという。香りのお茶が支持される現代にマッチした無糖茶といえる。
「烏龍茶とは?」(伊藤園資料)
そこで、同社は新商品の「烏龍茶」で茶葉の力を引き出すために、茶葉は、香り高い「色種」(シキシュ)と、コク深い「水仙」(スイセン)を使用。色種の華やかな香りと水仙のコクと鮮やかな赤褐色の液色を引き出すため、種類別にダブル抽出している。
薄肉ラベルや軽量ボトルを採用した環境に配慮した容器で、女性や高齢者でも持ちやすいくびれ形状が特徴だ。従来からある黒いショート缶の「ウーロン茶」とともに、赤い「烏龍茶」を積極展開し、ウーロン茶市場を盛り上げる考えだ。
なお、伊藤園は今回の発表会開催にあたり、入館時に体温・健康チェックと消毒を行い、記者席は1テーブルにつき1人が使用した。記者のテーブル前や登壇者の前に透明の仕切り板を設置し、写真撮影は一人ずつ行うなど、コロナ禍ならではの対策を取って実施した。