ステイホームで紅茶に追い風、伊藤園「生オレンジティー」果実量1.5倍に刷新で「生だからおいしい」独自ポジション構築へ
伊藤園「TEAs’TEA NEW AUTHENTIC 生オレンジティー」(2020年8月3日リニューアル)
伊藤園によれば、紅茶飲料には過去2回のブームがあったという。第1次ブームは各社が紅茶飲料に参入して成長した1990年からの8年間、第2次ブームはヘルシー感を訴求しゼロカロリー商品も続々と登場した2004年からの8年間とした。そして、同社は第3次ブームが2019年から始まっているとし、今後の成長のポイントは“ナチュラル”だと予測している。
コロナ禍でステイホームが続いている今年、伊藤園の調べによればティーバッグを含む嗜好品の茶葉(リーフ)の売り上げが大きく拡大しており、4月は前年比22%増、5月は20%増、6月も15%増になったという。在宅で紅茶をティーバッグやリーフで飲み始める人が増えている状況だ。
伊藤園マーケティング本部麦茶・紅茶ブランドグループの相澤治マネジャーは、7月29日に開かれたオンラインでの発表会で、「手でいれた紅茶のおいしさに気づかれた人が増えている。これからは人工的な味よりも、よりナチュラルな味わいを求める人が多くなると思う。実際に当社が昨年8月に発売した無添加で自然な香りと甘さにこだわった“TEAs’TEA NEW AUTHENTIC 生オレンジティー”の1店舗あたりの売れ行きは、今年4月以降非常に良い。リニューアルし、よりナチュラルなおいしさを多くの人々に提供していく」と話した。
今回のリニューアルでは、「甘い紅茶飲料が苦手」「香料や人工甘味料を控えたい」といったニーズに対応し、生オレンジを従来品の1.5倍使用し、皮ごと丸搾り果汁を使用することで、オレンジの香りと心地よい甘さを引き立たせた。そして、生のオレンジスライスを紅茶と一緒に抽出し、手作りのフルーツティーのおいしさを再現した同社の特許製法により、最大の特徴である香料、酸味料、人工甘味料を使わない無添加品質をそのまま継続する。
相澤氏は、「生のおいしさに添加物は必要ない。ご家庭の手作りのオレンジティーのような、自然な香りと心地よい後味に近づくことを目指している。シンプルな挑戦だからこそ難しいが、数々の失敗を重ねながら研究を進め、生のオレンジの香りを紅茶に移すことにこだわった商品だ」とした。
そして、10月5日には「TEAs’TEA NEW AUTHENTIC 生オレンジティー」からホット専用商品も発売する。相澤氏は「ホットの紅茶飲料市場は年々大きく拡大しており、昨年は2006年比で2.5倍の134億円規模になった。当社の“生オレンジティー”のホットは、コールド商品に比べて茶葉を1.2倍使用し、生オレンジ漬けシロップを採用していることが特徴。甘すぎず、すっきりした味わいを目指している」と語る。
ホット飲料の課題は、加熱を長時間続けると砂糖が熱変化し、自然なオレンジの香りを邪魔してしまうことにあった。だが、新商品はオレンジ漬けシロップを採用することで熱変化を防ぐ方法にしているという。
8月3日に開始するキャンペーンでは、オレンジのコンポートやジャムなど無添加の食品を賞品とした。商品でも、コミュニケーションでも「生だからおいしい」というメッセージを発信し、成長が続く紅茶飲料市場で独自ポジションを築くねらいだ。