無糖の炭酸水市場が継続拡大、首位「ウィルキンソン」は1カ月残して前年突破、健康志向と家飲み需要を背景に
無糖の炭酸水は、これまでも伸長を続けており、2019年の炭酸水(プレーンタイプ)の生産量は31万3700キロリットル(全国清涼飲料連合会調べ)で10年前から約8倍となっている。2020年の年間販売数量実績も、メーカー各社の動向を見る限り前年を超える見込みだ。清涼飲料全体の今年1-11月累計の販売数量実績は、前年比約93%と減少しており、炭酸水の好調ぶりが浮き彫りになっている。
コロナ禍でも、炭酸水は家庭の中で消費が拡大しており、健康的にリフレッシュしたいというニーズの高まりから、仕事や家事の合間や風呂上がりなど、飲用シーンが広がっている。また、家飲みの機会が増えたことでウイスキーや焼酎などの割材としてのニーズも高く、飲料各社によれば40~50代を中心に全世代でユーザーが増えているという。
他の大手メーカーでは、サントリー食品インターナショナルの「天然水スパークリング」が、今年は年間トータルで前年実績を約1割上回って着地する見込み。3月のリニューアル以降、特に「天然水スパークリング レモン」がユーザーを大きく増やした。
キリンビバレッジは、6月発売の「キリンレモン スパークリング 無糖」が年間販売目標の60万箱を11月13日に突破した。無糖なのにレモンをしっかり感じられる味わいが好評だったという。また、コカ・コーラシステムは、ラベルレスにもチャレンジした「ザ・タンサン」がオンライン販売において、大きく数字を伸ばしている。
シェアトップの「ウィルキンソン」ブランドは今年、主力商品「ウィルキンソン タンサンレモン」の強化や、在宅時間が増えた人々に向けた「おうち時間」を楽しむレシピ提案、そして販促活動に取り組んだという。販促活動では、直接飲用でも家飲みでの割材としても利用できる、1LPET容器を対象としたLINEポイントキャンペーンなど、SNSを活用した施策を展開し、飲用する場面を増やすことに取り組んだ。同社は、「お客様のコロナ禍における消費行動の変化に対応できたことが、業界平均を大きく上回る伸長と、過去最高の販売数量の更新につながったとみています」としている。
新型コロナの影響で、運動不足への関心も含めて健康志向がより高まっている。無糖という健康感と炭酸の刺激によるリフレッシュメントの価値から炭酸水のユーザーは拡大が続いている。飲料各社も次々と新商品やリニューアル品を投入しており、炭酸水市場はさらに伸長することが予想される。