「ネスカフェ」と「綾鷹」が“職人”応援のプロモーションを展開
世界を代表する食品・飲料メーカーのネスレとコカ・コーラが、なぜ日本の文化を支える職人たちを支える企画を行うのか。それは、コロナ禍となり、各地で応援消費や地域支援の機運が高まったことや、日本文化への関心が徐々に高まっていることが背景にある。
グローバルで展開する両社だが、和をテーマにした日本生まれのコーヒー「ネスカフェ 香味焙煎」や、日本生まれの緑茶「綾鷹」に注力している。それら和のブランドのさらなる浸透に向け、日本文化を担う職人に焦点を当てた活動を行うことで、消費者からの支持を集めたい考えだ。
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〈「香味焙煎」は陶磁器とタッグ、職人に手紙で思いを伝える〉
ネスレ日本は、消費者と職人をつなぐ新しい取り組みにチャレンジしている。これは、1000年以上の歴史を持つ陶磁器窯「日本六古窯(ろっこよう)」(越前焼・瀬戸焼・常滑焼・信楽焼・丹波焼・備前焼) との共同企画で、「ネスカフェ 香味焙煎 文通陶磁器〜職人があなたを象(かたど)る珈琲マグ〜」として2月16日から開始したもの。
今回の企画は、「日本六古窯」の職人が生み出すオリジナルの陶磁器で、“香り”と味わいが特長である 「ネスカフェ 香味焙煎」のおいしさを堪能してもらいたいという想いから生まれたという。
具体的には、「日本六古窯」の各生産地の陶磁器の特徴や窯元の様子、そして職人が書いた手紙をオンライン上で見て、その後に各生産地の陶磁器職人宛へオンライン上で“メッセージ(手紙への返事)”を書いて応募する。その結果、当選者に「ネスカフェ 香味焙煎」と、当選者本人をイメージしたオリジナルの“香り立つ”陶磁器が職人から手紙と共に贈られるもの。
ウェブサイトイメージ、職人からのメッセージ
この職人との文通体験ができる珍しい企画について、ネスレ日本飲料事業本部の吉永祐太ユニットマネジャーは次のように語る。
「今の時代は双方向のコミュニケーションが大事だと思っている。応募者の方と職人の方が通じ合ってひとつの陶磁器が作り上げられていくというところを含めて体験いただきたい。そして、“香味焙煎”ブランドの大切にしている、作り手と受け手の思いが共感するというところも体感いただければ。職人の方や生産地に思いを馳せていただくきっかけにしたい」。
〈「綾鷹」は「伝統工芸支援ボトル」で売り上げの一部を寄付〉
コカ・コーラシステムは、緑茶ブランド「綾鷹」から「綾鷹 伝統工芸支援ボトル」を2月15日から発売し、同日から「綾鷹 茶葉のあまみ」、「綾鷹 ほうじ茶」、「綾鷹 濃い緑茶」も伝統工芸支援ボトルとして展開している。「綾鷹 伝統工芸支援ボトル」は、売り上げの一部を伝統工芸を支援する活動に寄付するという。
コカ・コーラシステム「綾鷹 伝統工芸支援ボトル」
伝統工芸支援ボトルのデザインは全12種類で、4タイプの製品に各3つのデザインがある。デザインモチーフには日本全国各地の伝統工芸品が採用され、ラベル全体にあしらわれている。発売イベントに参加した伝統的工芸品産業振興協会の秋葉和生専務理事は次のように述べる。
「この150年の間に人々の暮らしは大きく変わった。機能性が求められるようになり、日本の美的なセンスよりも、むしろ使いやすい機能的なものに軸足が移った。その結果、産地では工芸品がなかなか売れなくなった。今回、“綾鷹”のボトルデザインに工芸品が使われることとなった。地元の工芸品に関心を持つなど、素晴らしい文化があることに気づいていただき、その輪が広がることに期待している」。
日本の伝統文化に携わる職人を応援することで、和の飲料ブランドに対して人々の共感を得ようとする試みが行われている。