「キリン生茶」6年ぶり大刷新、“どれも同じ”からの脱却めざす取り組みとは

キリンビバレッジ「キリン 生茶」「キリン 生茶 ほうじ煎茶」
キリンビバレッジは4月26日、「キリン 生茶」の中味・容器・パッケージデザイン全てを6年ぶりに刷新し、全国でリニューアル発売した。コンセプトは、「摘みたての生茶葉のようなあまみ、香り」で、「生茶」だけのおいしさを追求しているという。

発売初週から、新「生茶」はコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの売り場で、目立つように並べられたケースが多く、パッケージの変化に気づいた人も多いだろう。

キリンビバレッジは、なぜ「生茶」の大刷新を決断したのか。それは、緑茶飲料市場の中で、従来品のままでは差別化が難しくなったためという。

マーケティング部の植村昌史ブランドマネージャーは、次のように語る。「ペットボトル入りの緑茶は、どれも無難で、それなりにおいしい時代になった。お客様の意識では、どれもそれほど変わらないのではないか。生茶だけの“生のおいしさ”で市場を活性化したい」。

従来の「生茶」は、中身評価は高いものの、時代と共に「生茶」という商品名が市場に定着したため、「生」の意味性が希薄となり、特徴がわからない緑茶になっていたとする。

そこで、「ペットボトル入り緑茶はどれもそんなに変わらない」というユーザーの意識を捉え、製品を大刷新することで、「生のおいしさは、生茶だけ」を実現することに取り組んだ。

製法は、「摘みたての生茶葉のようなあまみ、香り」の達成に向けて、進化させている。ひとつは、「まる搾り生茶葉抽出物」を改良し、従来通り芯まで凍らせて鮮度を保った生茶葉を使用しながら、よりすがすがしい香りと爽やかさを引き出している。

もうひとつは、茶葉の火入れ、抽出温度を全面的に見直し、すっきり飲みやすい味わいにした。これは、緑茶飲料の売り上げの7割を構成する40〜60代の嗜好傾向が、「苦い」「渋い」から変化し、「すっきり」「飲みやすい」お茶になってきたためという。

パッケージは、刷新感があり、生茶葉が生き生きと舞う様子を現代的にデザインしながら、緑茶らしい上質感と爽やかさを表現したという。

あわせて「キリン 生茶 ほうじ煎茶」も容器・パッケージデザインを刷新している。

環境への取り組みでは、「キリン 生茶」「キリン 生茶 ほうじ煎茶」各525ml/600mlについて、ラベルを短尺化した。従来品比で約40%、年間換算で約180トン、ラベルによるプラスチック使用量を削減見込みとする。

また、自動販売機専用の「キリン 生茶」(555ml)について、再生PET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」を年内に順次導入拡大する。

さらに、「キリン 生茶 紙シール付ラベルレス」(525mlPET)を6月7日から首都圏エリアの一部の量販店でテスト販売する。必要表示内容が記載された小面積の紙製タックシールを貼付するという。

「生」の香りやおいしさと、環境取り組みの推進で、販売数量は前年比109%の年間3000万ケースを目指す。「生茶」のフルモデルチェンジにより、今年も緑茶飲料市場は各社の戦いが激しくなりそうだ。

キリンビバレッジ「キリン 生茶 紙シール付ラベルレス」

キリンビバレッジ「キリン 生茶 紙シール付ラベルレス」