プレミアムフライデーが始動 客数・売上増で一定以上の経済効果
◎-消費喚起に沸いた小売、外食各社
経産省が主体となって月末金曜日の早帰りを官民連携で推進するプロジェクト「プレミアムフライデー」(以下、PF)が2月24日、初めて実施された。導入企業が130社(経産省調べ)と限定的な点を懸念しつつも新たな売り上げの山場を作れるか注目が集まったが、小売、外食各社については一定以上の成果があったようだ。消費活性化に向けPFに合わせた販促キャンペーンを実施した業態・店舗は客数・売上増につながっており、PFは一定以上の経済効果を生み出した。
小売各社ではイベントの開催や、「自宅でゆっくり過ごしたい」という需要をターゲットにしたご馳走メニューの提案など、コトとモノの双方からの集客を狙った。
イトーヨーカ堂はホームパーティを想定し、にぎり寿司やフライのオードブルなど惣菜を強化した。24日は各店平均で前年比15~20%の売り上げ増だった。業態別では大型ショッピングセンター「アリオ」が最も好調だった。
イオンリテールは今後、月末の金曜から日曜までの3日間を「ビッグフライデー」と題し、プレミアムフライデーを盛り上げていく。普段より少し贅沢な食材、時間がなくて普段は作れない手の込んだメニューなどを提案した。食品以外でもメンズ衣料ではドレスシャツの提案なども行い、24日の売上高は全社で前年比20%増となった。食品ではマグロが特に伸長して40%増、刺身も15%増だった。同社では物販のほか、個店ごとにワインアドバイザーによる試飲、薬剤師による健康相談、空中ヨガやスキンケアアドバイスの体験会などのイベントも開催した。
ヨーカ堂、イオンともに地域による格差は少なく、24日は地方の店舗も売り上げが伸びたと言う。
西武百貨店池袋本店(東京都)の24日は、客数で5%増、売上高で3%増となった。レストラン街で同日限定のお得なメニューを用意したほか、地下食品売場ではフライデー(フライの日)にちなんだ揚げ物食べ比べ、焼き立てパンの試食などのイベントを開催した。また、屋上庭園では2000円以上購入で利用できる足湯を設けて、金曜~日曜の3日間で約300人が利用した。
一方、外食ではサントリー系列のダイナックとプロントコーポレーションが、3月14日に家庭用商品がリニューアル予定の「ザ・プレミアム・モルツ」を一足早く割引価格で提供。ダイナックでは、関東・関西で運営する147店舗を、プロントコーポレーションでは「カフェ&バー プロント」約220店舗を通常より早い15時からオープンさせた。ダイナックの広報担当者は、「売上高で前年比6%増、日商でプラス300万円の上乗せとなり、一定以上の成功を収めることができたとみている。新しくなったプレミアム・モルツを広く訴求できたことも成果のひとつだ」と話す。プロントについても売上、客数とも前年比3%増となり、「商機に繋がった」(同社)と分析する。
ワタミでは専門居酒屋「ニッポンまぐろ漁業団」都内2店舗(新橋店/浜松町店)でPF限定の特別メニューを提供し、うち新橋店の客数は前年比18%増となった。「官公庁の集まる霞ヶ関に近く、近隣にPFを導入する大企業が多くあったことが客数の増加に結び付いた。15時半から16時半まで満席となるなど大きな効果があった」(ワタミ広報)という。
またロイヤルホールディングスが展開する外食事業も一定以上の成果を収めた。ファミレス「ロイヤルホスト」では2月8日から販売を開始した「ウィークデー スペシャルディナーセット」(税込み1780円~)を15時から販売。グラスワインまたはプチデザートを1品プレゼントする限定版で、同日の注文数は前日までと比較し3倍となった。一方、天丼の「てんや」では、生ビールを割引価格で提供。主だった販促は打たなかったものの注文数は前年比2割増で着地し、売上増につながったという。
PFに合わせた販促キャンペーンを実施した小売、外食各社、来月以降の継続実施を発表。今回の結果を精査・検討し、来月の実施に備えるとした。