【スーパー33社第2四半期】増益5社、人件費増響く

〈競合店増で客数減、価格競争も進む〉

主要スーパー33社の2018年2月期第2四半期決算は、28社で減益または赤字となる厳しい決算となった。人手不足による人件費の高騰、社会保険の適用拡大、外形標準課税など経費の増加が響いた。売り上げの増加と粗利益率の改善で、増加した経費の吸収を目指したが、ドラッグストアやCVS(コンビニエンスストア)など業態を超えた競合店が増え、ほとんどのスーパーで既存店の客数が減少した。青果の相場安、水産品の不漁による相場高も売上高と粗利益を押し下げた。夏の長雨で、本来売れるべき夏物商品が売れなかったことも、業績の悪化に追い打ちをかけた。

既存店売上高が増加したのは、33社中7社にとどまった。買い上げ点数の増加で、客単価は増加したところが多かったが、客数を増やしたのはライフコーポレーション(東京)、ベルク(埼玉)、天満屋ストア(岡山)の3社にとどまった。客数の減少は、食品の扱いを強化するドラッグストア、スーパーの代替需要を開拓しようとするCVSの出店攻勢による影響が大きい。特にドラッグストアは、加工食品の価格訴求を強めており、地域の低価格競争にも拍車をかけている。

消費市場では景気の回復感は薄く、節約志向の高まりを受け、イオンリテール(千葉)や西友(東京)などの大手スーパーが、生活必需品の値下げに相次いで踏み切ったのも記憶に新しい。イズミ(広島)の山西泰明社長は、「顧客の生活防衛意識への対応を強化しなければ、ドラッグやネットなどの競合に勝てない」と指摘し、同社は下期以降低価格品の品揃えを増やす。

「買い物頻度が下がっている」(古山利昭ヤマザワ社長)という声もある。買い上げ点数の増加も、もう一品購入を促すMDの効果というより、まとめ買いに起因するという見方もでき、楽観はできない。既存店売上高が増加した7社のうち、北海道が3社(アークス、イオン北海道、マックスバリュ北海道)を占めた。ドラッグストアの出店攻勢はエリアごとに強弱があり、北海道は出店が少ないと言える。一方で西日本、特に関西と中京地区ではクスリのアオキ(石川)、ゲンキー(福井)、コスモス薬品(福岡)などが出店を強化しており、ユニー(愛知)、平和堂(滋賀)、オークワ(和歌山)などが大きく影響を受けている。クスリのアオキとゲンキーは生鮮食品の取り扱いも始めており、地域のスーパーにとっては脅威が増していると言える。

人口密度が低い北海道は、アークス、イオングループ(イオン北海道、マックスバリュ北海道)、コープさっぽろの3強による寡占化が早くから進んでいることで、他地域と比べると競争環境は激化せずに安泰だと言える。しかし、人口の減少率は他地域よりも高く、「客数が厳しい」(出戸信成マックスバリュ北海道社長)という根本的な課題がある。アークスは今後5年間で103億円を投資してグループ8社のシステム統合を進め、商流の統一による原価引き下げと調達力の強化、効率化を進めて、将来の厳しい状況でも生き残れる体制の構築を始める。

〈食品産業新聞2017年11月2日付より〉