「無印良品 東京有明」オープン、関東最大店で「家から町全体まで、暮らしのすべてをサポート」/良品計画
無印良品がテーマにしている「感じ良いくらし」の解釈を広げ、自宅だけでなく、オフィスや公共施設を含めた町全体の暮らしを提案し、サポートすることを目指した。戸建て住宅の販売、部屋のリフォームなどを拡充したほか、収納や片付け、掃除などの相談、不用品引き取りなどの新しいサービスも行う。生活必需品では食品と洗剤の量り売りを新たに導入した。
良品計画・金井正明会長は「空間に対する事業を柱に」するとしているほか、暮らしに関わるあらゆる困りごとを相談できる場として、「地域の中のコミュニティセンターを目指す」としている。
「無印良品 東京有明」の生鮮野菜売場
「無印良品 東京有明」は3フロアで、売り場面積は約1400坪。1階が食(304坪)、2階が住(674坪)、3階が衣(422坪)。無印良品のすべての商品を取り扱い、「暮らしのサポート」「家づくり」「街づくり」をテーマにした新たな8つの商品・サービスを加え、百貨店以上の「百八貨店」に位置付ける。食品や雑貨、衣料品など日常の必需品から、部屋のリフォーム、戸建て販売、町の活性化まで、暮らしのすべてに関わる店舗を目指す。
食品は人によって食べる量、時によって使う量が異なることから、それぞれに「ちょうどよい」を量目を購入でき、必要以上に買い置きをしない「食のコンパクトライフ」を提案する。パスタ、コーヒー、雑穀、ナッツ、ドライフルーツ、菓子など50種類以上を扱い、20g以上から1g単位で購入できるようにした。
旬の野菜の販売も行う。良品計画が運営する千葉県鴨川市の農産物直売所「みんなみの里」からの野菜のほか、東京近郊の野菜、京野菜、有機野菜などを扱う。漬物に向く東京都産「あやめ雪かぶ」「もものすけ」は、ぬか床と漬物用のケースを関連販売する。
「無印良品 東京有明」旬の野菜販売コーナー
「不揃いみかん」は形が揃っていないことで規格外になったものを全国各地から集めて販売する。オープン日は神奈川、静岡、高知産のものを扱い、旬の味の提案とフードロス削減を両立させる。また、地元江東区と協力し、1階では余った食品の回収(フードドライブ)、3階では古着の回収も行う。
冷凍生地を使わずに国産小麦粉から作るベーカリーは、旗艦店「無印良品 銀座」(東京都中央区)の2倍の規模に拡大し、初めて「MUJIベーカリー」の店名を冠した。銀座にはない10種類のスパイスを使った「カレーパン」(税込240円)を看板商品に据え、売れ筋1位のロールパン(税込90円)や食パン(税込360円)などの30~40品目を販売する。
素材そのものの味を生かしたメニューを提供する「Cafe&MealMUJI」、旬の野菜や果物を使った「ジューススタンド」、「MUJIベーカリー」のイートインと3カ所の飲食スペースを用意し、無印良品の食の世界を手軽に体験できるようにした。
「無印良品 東京有明」MUJIベーカリー
「無印良品 東京有明」のメーンとなる2階・住のフロアには、無印良品のアドバイザーで、日本デザインセンター社長の原研哉氏が設計した「陽の家」の原寸大モデルハウスを展示し、無印良品の家具やキッチン用品、収納用品なども配置し、シンプルな暮らしを提案する。「くらしなんでも相談所」では、収納やインテリア、片付けなど、暮らしの困りごとを何でも相談でき、不用品の引き取りや預かりも行い、必要以上に物を持たない暮らし方を提案する。
「無印良品 東京有明」くらしなんでも相談所
法人・自治体向けに「空間企画サービス」も行う。団地の活性化、古民家の活用、廃校や遊休施設の活用などの相談も受け付ける。「見えるオフィス」として、店舗スタッフが働いている空間を「見える化」し、多様化する働き方に合わせたオフィスのリノベーションも提案する。
金井会長は、「今後、すべての政令指定都市にこういう店舗を作る。地域の真ん中に大きな総合店を作り、人々が暮らす場所に(生活に必要なものを中心に扱う)『くらしの基本店』を作る。日本には2万店以上の食品スーパーがあるが、『野々市明倫通り店』(石川県野々市市)のように、食品スーパーと一緒に店を作ることも考えていく。山形県酒田市で始めているが、まだ出店できていない地域では移動販売も行い、日本中の生活に無印良品が入り込んでいくようする」と話した。