セブンイレブン冷食強化、「冷凍だからできるおいしさ」追求、香り高いエスニックカレーなど最適調理で“専門店の味”に
同社の弁当・惣菜の製造を受託するデイリーメーカーの専用工場で、冷凍食品を製造できる体制が整ってきたため、需要が伸びている冷食カテゴリーで、他社にないオリジナル商品を発売して、新たな需要の開拓と成長路線の確立を目指す。
まず3月15日から5月にかけ、PB(プライベートブランド)の「セブンプレミアムゴールド」からパスタ2品とピザ1品、「セブンプレミアム」からカレー4品、スイーツ2品を順次発売していく。3月10日に本社で行われた商品説明会で、園田康清商品本部デイリー部FF・冷凍食品シニアマーチャンダイザーは、「家庭の食卓の乗せてもらえるものとして、選んでもらえる商品を開発していく」と話した。
一般的な冷凍食品は、すべての素材を工場で一括調理した完成済みのメニューを、電子レンジで温め直して食べるものになるため、素材によっては過加熱になるなどの課題があった。
セブン-イレブン・ジャパンでは、素材を生かして1品1品調理する外食店のような、よりおいしい冷凍食品を開発するために、素材の調理法をよく知るシェフなどの専門家や、素材の冷凍耐性などについて科学的な根拠を持つ大学教授らとともに、冷凍だからこそ実現できるおいしさの研究を重ねてきた。専用工場では素材1つ1つを最適な方法で調理し、それぞれ最適なタイミングで組み合わせる手間のかかる工程を敢えて取り込み、家庭の電子レンジで温めた時に調理が完成するように商品を設計した。
4月5日発売のカレーは、「バターチキンカレー」(本体価格348円)と、「グリーンカレー」「マッサマンカレー」「キーマカレー」(各368円)の4品で、すべてエスニック系のカレーになる。
カレーはコロナ禍でレトルト商品を中心に需要が大きく伸長し、大手メーカーや地方のご当地商品などラインアップが充実している。他方、レトルトは袋ごと高温で加熱して製造するため、具材の形状が保てない、香りが飛んでしまうなどの課題もあり、煮込み系の欧風カレーには向いているが、近年人気が高まっているエスニックカレーには向いていなかった。
同社では冷凍食品だから実現できるエスニックカレーを目指し、スパイスは粉末やホールなど、形状によって異なる香りが最も引き出される温度やタイミングを研究し、香りが低下しないよう煮込まないことにこだわった。具材は味や形状が保持できるよう、鶏肉は焼いて旨みを閉じ込めてから、ジャガイモは揚げてからそれぞれカレーソースと合わせて、長時間煮込まないようにした。同社では今後、エスニックカレーは冷凍食品で、欧風カレーはレトルト食品でと、形態を分けて商品開発をしていく。
パスタの「金の蟹トマトクリーム」(本体価格398円、3月15日発売)は、かにトマトソース、クリーム、かに肉を別々に調理して、それぞれ最適なタイミングでトッピングすることで、素材のおいしさを生かし、濃厚な旨みも引き出した。そのほかパスタは、ソースに占める牛肉の比率が50%、赤ワインの使用量が従来の冷凍ミートソースパスタの3倍に高めた「金のボロネーゼ」(398円)を4月5日に発売する。
セブンプレミアムゴールド「金の蟹トマトクリーム」
セブン-イレブン・ジャパンの冷凍食品専用工場は、フジフーズの秋田工場(惣菜)と千葉工場(惣菜、パスタ)、佐勇の山形工場(ピザ)、プレミアムキッチンの三重工場(惣菜)、デリカウィングの北広島工場(軽食)が稼働済み。この3月からフジフーズの茨城工場(惣菜、パスタ、米飯)、4月から佐勇の山形第2工場(ピザほか)が新たに稼働を開始し、供給できるアイテムと量が大きく拡大する。
園田シニアマーチャンダイザーは、「売り場面積が限られているので、開発品目をいたずらに拡大するのではなく、セブン-イレブンならではという視点に絞った冷凍食品を開発していく。(食品スーパーとは異なる)当社ならではのミールキットの開発も進めている」という。