外食12月期 7社が増収増益 マック回復、すかいらーくも善戦
日本マクドナルドホールディングスの黒字転換を筆頭に、外食企業の2016年12月期決算は概ね好調に推移した。13社中、増収営業企業は前期と同数の7社だった。消費者の生活防衛意識の高まりもあり、景気は引き続き足踏み状態にあるが、大手を中心に堅調を維持した。外食業界を取り巻く環境は、他業種他業態との顧客獲得競争の激化、原材料価格の高止まりと労働単価の上昇などにより一層厳しさを増している。
売上高上位3社の業績は、いずれも好調に推移した。FRを主力に展開するすかいらーくとロイヤルホールディングスは増収営業増益で着地。日本マクドナルドHDは増収、営業損益は前期の大幅赤字から黒字に転じた。
「ガスト」や「ジョナサン」を運営するすかいらーくは、当期利益が20・5%増の182億1600万円となり、前期に続き過去最高益を更新した。若年層を中心に客足が落ち込み、既存店売上高は前半苦戦を強いられたものの、後半には巻き返し前期並みの水準(前年同期比0・1%減)で着地した。主力「ガスト」においてグランドメニューの8割を刷新、ランチメニューの改善や399円商品のラインナップ強化したことが奏功したもの。焼肉やカフェといった業態が好調だったことも利益を押し上げた。なお16年12月期の新規出店は49店舗に留まったが、好調な業績をさらに押し上げるため、同社は今後3年間で450店舗の出店を目指していくという。焼肉やとんかつなど新ブランドによるロードサイドへの出店を計画している。
続く日本マクドナルドホールディングスは、15年より実施するビジネスリカバリープランの進捗により売上高、利益が大幅に改善した。既存店売上高は5年ぶりのプラス(前年同期比20・0%増)、営業損益は3年ぶりの黒字(前期は234億4000万円の赤字)を達成。14年の中国産鶏肉問題発生以降、既存店売上高の落ち込みが継続していたが、キャンペーン施策、バリュー感のあるランチメニューの投入が実を結び、大幅な改善に繋がった。「ポケモンGO」とのコラボレーションや既存店の改装実施(555店舗)も主要客層であるファミリー層を引き付けた。
ロイヤルホールディングスの売上高は5期連続の増収となった。主力の外食事業は苦戦したもののコントラクト事業、ホテル事業がこれを補った。外食事業は、天丼「てんや」が好調も「ロイヤルホスト」が営業時間短縮や天候不順により既存店売上高が前年同期比1・4%減となったことで減収。コントラクト、ホテル事業は、インバウンド効果もありそれぞれ増収増益で着地した。
バー・レストランを主体に展開するダイナックは、法人需要が低調に推移したことなどにより既存店売上高、客数はともに前年割れ。
かつ丼「かつや」を主力に展開するアークランドサービスは、とんかつ市場の拡大により競合店舗が増える中、既存店売上高、客数ともに前年を上回って着地した。同社は11年連続で増収経常増益を達成しており、売上高の9割近くを占める「かつや」に続き、唐揚げの「からやま」など新業態の出店も加速していく。
9月に東証マザーズに新規上場を果たした串カツ田中は期中に37店舗を出店し、大幅な収益拡大に繋がった。