「焼肉きんぐ」12期連続増収増益、「日本一入社したい会社」目指す 外国籍社員採用で活性化も

テーブル焼肉バイキング「焼肉きんぐ」外観
〈12期連続で増収増益、焼肉マーケットをけん引〉
テーブル焼肉バイキング「焼肉きんぐ」の運営で、好調な焼肉マーケットをけん引する物語コーポレーション(愛知県豊橋市、加治幸夫社長)。

12期連続(~17年6月期)で増収増益を達成している同社の社員たちは、社名にも込められた自身の“物語”の実現に向け、同社で働くことで個人としての成長を目指す。企業理念の実現に向けては、人財育成プログラム『物語アカデミー』を設置し、入社3年目を目途に店長へと就任できる仕組みを構築している。個人が輝くための社内活性化にも注力し、外国籍社員の採用にも積極的に取り組む。

〈経営理念は「Smile&Sexy」、個の尊厳を組織の尊厳の上に〉
同社の経営理念は「Smile&Sexy」。一風変わったユニークな経営理念に込められた想いは、飲食のプロとしてスキルを磨く一方、自分らしさや個人としての尊厳も大切にする自立集団の育成だ。個人の成長で企業としての成長を生み出すことを経営理念の柱に据えており、業態開発力と併せ創業時より、人財力の強化にも注力している。ユニークな経営理念の浸透もあり、同社の新卒入社3年以内の離職率は、平均12%と低い水準を達成している。その背景にあるのが、教育機関『物語アカデミー』の運営で、株式上場を目指しはじめた02年、店舗網を飛躍的に拡大していく過程で、それまでの人財教育を『物語アカデミー』としてプログラム化した。

物語アカデミー部長の北村聡氏は、「正直、外食だからと、当社に入社する社員はほとんどいない。個の尊厳を組織の尊厳の上に置く経営理念に惹かれ、入社する社員がほとんどだ。『物語アカデミー』の設立はそうした社員のフォローと定着率アップが最大の目的。理念に共感した社員のみを採用し、採用した社員を『物語アカデミー』と配属先の連携により育成し、外食のプロに育てる。定着したプロの人財の存在が、会社の成長につながる」と、『物語アカデミー』の存在意義を説明する。入社1年目の社員は店舗研修に加え、年6回の『物語アカデミー』での研修を実施。入社3年目を目途に店長へと就任できる仕組みを構築している。

物語アカデミー部長・北村聡氏

物語アカデミー部長・北村聡氏

〈目標は「日本一入社したい会社」〉
また企業理念の浸透と、社内活性化に向け近年、積極的に取り組んでいるのが、外国籍社員の採用だ。

「優秀な社員は、国籍問わず採用したい。外国籍の社員を積極的に採用することで、多様性や異文化の力を標榜し、より強固な組織づくりを目指す。日々の業務において改善提案を頻繁に挙げるなど、外国籍社員は積極性のある人が多く、社内の活性化にもつながっている」(北村氏)という。

外国籍社員は各国の民族衣装で入社式に参加

外国籍社員は各国の民族衣装で入社式に参加

外国籍の社員は、中国などのアジア圏を中心に88人で、全社員の10%近くを占め、将来的には100人を超える見込みだ。社員の99%が取得する7日間連続休暇や男性の育休取得、時短社員の導入など働き方改革にも率先して取り組む同社だが、今後目指すのは、「日本一入社したい会社」だという。「外食企業の中から選ばれる企業ではなく、全職種から、また海外の人財から選ばれる企業を目指していく。今後3年間で順調に成長していけば、当社は2020年に1000億円企業に到達する。個の尊厳を組織の尊厳の上に置く企業理念を貫くことで、名実ともに1000億円企業にふさわしい成長を目指す」(北村氏)とした。

〈食品産業新聞 2018年8月2日付より〉