リンガーハットは自らの首を絞めている? 上野周辺の店舗がすべて閉店
〈レシートクーポン「餃子3個無料」も終了〉
閉店前の「お別れ昼食」として上野御徒町店へ行ってきたところ、レシートのQRコードを読み込んでアンケートに答えると、餃子3個またはソフトドリンク1杯無料というサービスも、1月31日限りで終了というお知らせがあった。自宅近くの「イオン」のフードコート内にもリンガーハットがあり、餃子無料券があるからという動機で、週末に家族でたまに行っているのだが、それも今後は無くなるのだろう。
業績悪化で事業を縮小することはやむを得ないが、リンガーハットのこの間の動きは、私にとっては自らの首を絞めているだけにしか見えない。月1回ぐらいの頻度で利用していたが、それが今後は限りなくゼロに近づくということだ。つまり業績改善のために行ったリストラが、逆に業績悪化に拍車を掛ける結果になったということだ。
〈フードコートという出店戦略が裏目〉
リンガーハットのIR資料によると、2020年度累計(3~12月)の売上高は前年比3割減だ。特に最初の緊急事態宣が出た4~5月は前年比の半減と大きく落ち込んだ。リンガーハットはショッピングモールのフードコートに出店するという戦略で業容を拡大してきた。最初の緊急事態宣言時はほとんどのショッピングモールが核店のスーパーのみ営業し、テナントはすべて休業という措置を取ったので大打撃を受けた。
「無印良品」を展開する良品計画の松﨑曉社長が決算説明会で、最初の緊急事態宣言時は大型商業施設内の店舗が休業せざるを得なかったと話していた。それを受け、今後は営業するかどうか、自分たちで判断できる路面店の出店を強化すると話していた。大型商業施設へのテナント出店は初期投資が低く、商業施設の力で集客できるので、賢い出店戦略だと思っていたが、コロナ禍ではそれらがすべて裏目に出たのだ。
コロナ禍で外食全体が打撃を受けているように見えるが、テイクアウトに向くハンバーガーや牛丼などは健闘している。テイクアウトに向かない麺類は圧倒的に不利で、明暗を分けた。コロナ禍で強い業種、弱い業種はある。
この年末年始、自宅近所のディスカウントストアで5食入り即席袋ラーメンがやたらと安く売られており、ついつい買ってしまった。ディスカウントストアもコロナ禍では強い業種だ。「ラ王」「正麺」など最近の即席麺はレベルが高く、チャーシューなどの具材をのせれば、お店で食べるラーメンと遜色ない。在宅勤務が続くと昼食は即席麺を食べる機会が増える。即席麺メーカーもコロナ禍では強い業種だ。リンガーハットが苦境に立たされたのは、即席麺メーカーの影響も少なからずあるだろう。