外食企業が新業態続々、焼肉の和民・すしの和・赤からソウル・ソレージェなど、コロナ苦境の活路探る

焼肉の和民「ワタミカルビ」
コロナ禍は約2年も続き、苦しい状況が続く外食業界。新たな収益確保を目指すべく、変化するニーズにあわせた新事業の開発が相次ぐ。目立つのは、既存ブランドとは大きく異なる食ジャンルへの参入や、家ナカ需要に応えるEC(通販サイトなど)の展開だ。

〈ワタミは脱居酒屋、「焼肉の和民」「すしの和」や食品宅配「パクモグ」など〉
居酒屋大手のワタミ(東京都大田区)は、“脱居酒屋”を進めている。2019年時点で450店を運営していた居酒屋業態を、2021年12月時点で280店舗まで縮小した。代わりに焼肉業態「焼肉の和民」「かみむら牧場」や、から揚げ専門店「から揚げの天才」、韓国発のフライドチキン店「bb.qオリーブチキンカフェ」の拡大を進めている。

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「から揚げの天才」写真出店費用を抑えたコンテナ型店舗

ワタミ「から揚げの天才」出店費用を抑えたコンテナ型の店舗

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また、ワタミ初の寿司業態として2021年12月には「すしの和」をオープンした。同店は2023年度までに30店舗の展開を目指す。コロナ禍で好調な食品宅配サービスでは、子育て世代をターゲットとした新ブランド「PAKU MOGU(パクモグ)」を、2022年2月1日から開始した。好き嫌いの多い子どもたちの完食を目指したミールキットを販売している。

ワタミ代表取締役会長兼社長の渡邉美樹氏/「すしの和」発表会

ワタミ代表取締役会長兼社長の渡邉美樹氏/「すしの和」発表会

〈グルメ杵屋はジェラート「ソレージェ」でスイーツ事業に参入〉
うどん店「杵屋」やそば店「そじ坊」などを展開するグルメ杵屋(大阪市住之江区)は、2021年11月に実店舗とECの両方で同社初のスイーツ事業をスタートした。
 
ジェラート専門店「solege(ソレージェ)」(大阪市住之江区)は、店内の工房で非加熱・非冷凍の生フルーツなどから作ったジェラートを、実演も交えて製造する。大阪府堺市のジェラート店「ricarica (リカリカ)」が商品開発や製造を監修し、共同開発した業態で、今後は店舗展開のほか、小売での流通も視野に入れる。

イートインで提供するジェラート(solege)

イートインで提供するジェラート(solege)

ECでは、日本発のプリン専門通販サイト「ときめく!プリンお取り寄せ」を開設した。全国のスイーツ店など18店舗から約50商品を取りそろえる。グルメ杵屋はプリンを製造せず、商品の選定は、1万種類のプリンを食したというスイーツコンシェルジュの磯貝由起氏と共に、グルメ杵屋の社員も試食して決める。飲食事業で磨いてきた食へのこだわりを活かし、“フィルター”としての役割を担う。

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グルメ杵屋 プリン専門通販サイト「ときめく!プリンお取り寄せ」取扱商品

グルメ杵屋 プリン専門通販サイト「ときめく!プリンお取り寄せ」取扱商品の一部

〈和食チェーンのがんこは「すしdeli Chotto」〉
和食・居酒屋業態を中心に展開するがんこフードサービス(大阪市淀川区)では、駅ナカの商業施設に「すしdeli Chotto」を出店した。手巻き寿司や稲荷を中心に、見た目のかわいらしさや食べやすいサイズ感にこだわった商品をそろえる。

がんこフードサービス「すしdeli Chotto」

がんこフードサービス「すしdeli Chotto」

〈甲羅は“韓国版赤から”「赤からソウル」〉
全国に「赤から」を展開する甲羅(愛知県豊橋市)は、コロナ禍の巣ごもりによって発生した第4次韓流ブームを受け、2021年9月に“韓国版赤から”「赤からソウル」を開発した。「赤から鍋」などの看板メニューはそのままに、韓国料理を多く取りそろえる。現在は3店舗だが、既存の「赤から」が複数ある商圏で、差別化を図るために業態転換を進める考えだ。
 
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「赤からソウル」サムギョプサル・ソウル鍋など

「赤からソウル」サムギョプサル・ソウル鍋など

韓国風ストーンアイス「ミニドルアイス」(赤からソウル恵比寿西口店)

韓国風ストーンアイス「ミニドルアイス」(赤からソウル恵比寿西口店)

コロナ禍による営業時間や酒類提供の制限で苦境が続く外食産業。業界関係者の間では、市場はコロナ前の状況に戻らないとの見方が強い。活路を探る外食企業の新たなチャレンジに今後も注目したい。