からあげ専門店 前年比40%増で拡大続く、店舗数10年で10倍に
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日本唐揚協会の八木宏一郎専務理事は、「タピオカ店だったものが、台湾・韓国系チキンの店に鞍替え(くらがえ)したケースが目立ちました」と話す。そのほか、既存の飲食店が唐揚げ専門店へ業態変更するケースも多々見られたという。
ここでいう「唐揚げ専門店」は、からあげがメニューの7割以上を占めている店を指す。実店舗で運営している業態のみをカウントしており、ゴーストレストランなど厨房を間借りしている店舗は入れていない。
唐揚げは、コロナ禍の外食控えや自炊疲れの受け皿になり、テイクアウト・デリバリー需要が拡大。動画配信サービス「Netflix」(ネットフリックス)の韓国ドラマ「愛の不時着」のヒットによる、韓国チキン“ヤンニョムチキン”の人気も後押しした。また、唐揚げ専門店は、ほかの飲食店に比べて小規模な敷地面積で、低コストに出店できるという点も店舗数を伸ばした要因だ。
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このコロナ禍でいっそう拡大した“唐揚げブーム”だが、八木氏によるとブームのきっかけはコロナ発生以前の2019年10月、消費増税だったという。
店外飲食だと軽減税率が適用されることから、2019年はデリバリー元年となった。ご飯のおかずとしてだけでなく、子どものおやつ、酒のつまみまで幅広いシーンで食される唐揚げ。時間が経ってもおいしく、持ち運びもしやすいことから、テイクアウト・デリバリーで唐揚げを販売する飲食店が増加。増税対策として売り始めたものが、コロナ禍にうまくはまった形となった。
まん延防止措置が明けて店内に人が戻りつつある今、唐揚げのテイクアウト・デリバリー需要は落ち着きを見せてきている。ただこの数年間、飲食店だけでなくスーパーの惣菜でも唐揚げに注力する動きがあり、おいしい唐揚げが手軽に買えるようになった。以前に増して食生活の中に唐揚げが広まる一方、急増した専門店について、過当競争を懸念する向きもある。今後の唐揚げ市場がどう動いていくのか、引き続き注目していきたい。