日清フーズ、今後の商品開発でミレニアル・シニア世代を重視
日清フーズは4日、都内で常温も含めた家庭用新商品発表会を開催した(既報)。その席で、岩橋恭彦取締役加工食品事業部長が、「2020年の五輪に向けて(景気・市場が)盛り上がっていくとは思うが、その先に向けてそろそろ準備をするときだ」とし、10年程度先を見据えた中長期的な商品開発方針について、要旨次のように説明した。
岩橋取締役=貿易自由化、国内市場の縮小という基本状況は変えようがない中で▽差別化された新商品開発▽コスト競争力の強化–はこれまでも取り組んできたが、これからも引き続き取り組む必要がある。
2020年以降、一般的によく言われるように人口減少、高齢者人口の拡大、共働き世帯増加、女性の社会進出といった構造的変化が一層進むと見られる。そうした中で、“ミレニアル世代”(※2000年以降に成人を迎えた20~30代の世代)が消費・労働の中心となってくる。切り口はいろいろあるだろうが、特にミレニアル家族層・ミレニアル単身層、そしてシニアのアクティブシニア層・単身シニア層に注目し、細分化しながらターゲティングしたいと考える。
ミレニアル世代は2025年には労働人口の75%を占める(現在40%)と見られ、商品を買っていただく重要な世代になる。この世代は▽インターネット、SNSとともに成長▽リスクを回避し、安定と成功を求める▽楽観的で既存の権威を信用しない▽所有に興味がなく、外食や健康に興味▽帰属意識弱く、ワークライフバランス重視–といった特徴があると言われている。
さらに深く分析すると、たとえば、ミレニアル単身層は「生活志向」において▽デジタル▽人と繋がる▽賢い消費▽現状満足–、「食へのニーズ」において▽簡単でリーズナブルな食事▽友達との楽しい時間▽フォトジェニックな見た目重視–、「購買ニーズ」において▽ECでの簡便性▽近所のコンビニエンス–等とカテゴライズできる。それぞれの層について、生活志向、食へのニーズ、購買ニーズを掛け合わせると、さまざまなマーケットが想定できる。
当社はプレミックス、パスタ、パスタソースといったドライの加工食品、そして冷凍食品、またCVsの中食への原料供給等を行ってきている。この当社カテゴリーにおける消費者ニーズも変化していくと見る。たとえば当社では「できる限り一から調理したい」という層にプレミックス、「ある程度なら調理する」層にパスタやパスタソース、「極力調理したくない」層に冷凍食品などを提供してきた。一方、高齢化や女性の就業率拡大で、時間をかけた手作りから、個食化や簡便性を求めるニーズが拡大し、市場はより簡単な食事や惣菜、お弁当などの方向に進む傾向があるのは間違いない。ただ、よく見ると「簡便性ニーズ」だけでなく、高齢化や外食増加で「健康・安心ニーズ」や、「更なるおいしさニーズ」も高まる可能性がある。例えば「小麦粉ミックス」であれば、料理をする人が減ってなくなるのではなく、より簡便、より健康的、より安心といったように、それぞれのセグメントの中でも少しずつ進化していくと思っている。
たとえば当社が一昨年発売した「クッキングフラワー」は、手作りで調理をしたいが簡単にといったニーズを捉えた。今回発表する「糖質50%オフ ホットケーキミックス」「糖質50%オフ お好み焼粉」も、家で調理したくて健康を意識する層に向けている。1つ1つのカテゴリーの中でも、健康、安心などのニーズが拡がってきている。
ただし、より簡便へという大きな流れが変わることはなく、その流れを意識しながら、商品開発を進めていきたい。
–続きは本紙で。