【冷凍パン特集②】テーブルマーク/トップ・トレーディング
テーブルマークの今期(1~12月期)の焼成冷凍パン分野の売上高は小売PB商品の減少の影響で全体としては減収となる見込みだ。ただしNB商品は引き続き堅調に売上げを伸ばしている。ホテルビュッフェを中心に需要を拡大してきたプチパンでは今春、高質商品を投入し、西洋居酒屋の需要が高まっているバゲットでは今秋、調理適性の高い商品を提案するなど主要業態に向けて商品の幅を広げつつ、新たなチャネルを見据える。
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業務用冷凍パンの主力であるプチパン類は20品以上をそろえるが、今春は高質品として「パン・オ・ショコラ」「アップルデニッシュ」「ミニラウゲンロール」――の3品を新発売した。いずれも同社グループの中国工場でバターやチョコレートに海外の高質な原料を使用。アップルデニッシュはフィリングを同工場内で製造している。フィリングの製造までこなすのは、冷凍食品企業ならではの機能。ラウゲンロールも人手をかけられる中国工場の利点を生かした商品だ。
バター100%のクロワッサンは今秋リニューアルした。独自の発酵種を使用し、ボリューム感を高め、口どけの滑らかさも向上した。クロワッサン「業態を問わず利用され、食シーンが多い。市場の伸長に合わせて販売は増えている」(同社)という。
バゲットなど大型商品は他にフォカッチャ、チャバタ、穀物食パン――など、品数は少ないが、バルなど新たなチャネルの販売が伸びている。グループ企業サンジェルマンの職人技術を活かせる分野でもある。
今秋の新商品「レストランバゲット」は多段式オーブンで焼き上げる量産型。石床で焼く既存品よりも気泡が小さく、カナッペなどアレンジメニューを作りやすい。
給食向けに個包装した食パンやクロワッサンの販売も徐々に拡大している。病院や有料老人ホームが中心だが、学校給食にも取扱いが広がっている。「社会構造的に今後拡大するルート」として取り組みを続ける。
冷食企業として惣菜やデザートなど幅広いアイテムの一分野として冷凍パンを提案できるのが同社の強み。「人手不足はどこも同じ」として、販路拡大の可能性はまだまだ広がっていると見込む。
〈2桁伸長、メーカーとの提携で新マーケット開拓図る/トップ・トレーディング〉
トップ・トレーディング(大阪市浪速区)はフランスやニュージーランド、タイなど海外から成型冷凍パンや発酵後冷凍パン、完全焼成冷凍パンなど約50品目を輸入・販売している商社だ。前期(17年3月期)の冷凍パン事業の売り上げは、市場が微増傾向の中、前年比11%増の約5億円。今上期の売り上げは約3億円と、ホテルの建設ラッシュやインバウンド需要などの影響で好調に推移している。
トップ・トレーディングが販売する発酵後ミニクロワッサン
販売先の9割はホテルの朝食用で、そのほか量販店のインストアベーカリーや結婚式場、パン屋などにも一部販売。高付加価値の比較的アッパーな商品を提案している。
近年は人手不足や労働時間の短縮のため、冷凍パンを使用する企業も増加している。中でも、オペレーションが楽で、価格面でも比較的安価な発酵後冷凍パンを訴求しており、売り上げも伸長しているという。
今後はホテルをターゲットにアイテムのさらなる拡充を推進し、シェア拡大のため既存のマーケットの底上げを図っている。一方で競合他社の参入や原料であるバターの高騰などで利益確保が難しい状況が続いており「5年、10年後はわからない体力勝負の面もある」(三宅孝製菓原材料部次長)とする。
冷凍パン市場は伸びているものの、パン全体での伸び自体は鈍化していることも危惧しており「ホテル以外にも利益が残る新たな販路、新たなマーケットの創出のために、業界の旗振り役を目指したい。メーカーと業務提携し、生ハムとパンを組み合わせたり、食育的な取り組みをするなどの新たな提案で化学反応を起していきたい」(三宅次長)という。また国内に限らずアジア各国との連携も密にすることで、アジア全体の消費の底上げも目指すという。
〈冷食日報2017年12月20日付より〉
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