東京団地冷蔵、竣工披露宴に175人「長く愛される会社目指す」=織茂裕社長
東京団地冷蔵(東京都大田区、織茂裕社長)は7日、都内ホテルで新倉庫の竣工披露宴を開いた。関係者175人が参集し、来賓として関係省庁から国土交通省の重田雅史大臣官房物流審議官が列席、自由民主党衆議院議員の望月義夫氏、平将明氏、井林辰憲氏らも駆けつけた。織茂社長は建て替え工事中の3年間に不便をかけたことに謝意を表したうえで「これからの新たな44年、さらに50年と、皆様に愛され続ける会社を目指していきたい」と力を込めた。
同社は冷蔵倉庫業者を中心とした共同出資会社。経年による施設の老朽化、耐震性能面などから重要な社会インフラとしての食品の冷蔵保管機能を果たせなくなる恐れがあったこと、またCO2排出削減やノンフロン対応など環境保全対策の観点から、自社冷蔵倉庫を全面建替えした。第1期棟建設から44年たった2015年に建て替えのためにいったん営業を停止していた。
新倉庫は2月28日に竣工し、3月1日から営業を開始している。収容能力は合計17万7,873tと建替え前よりも3万tほど増加。特に北棟は13万tと国内最大の冷蔵倉庫となる。織茂社長は竣工披露宴の挨拶で「昭和46年3月に第1期棟が建設されて以降、第3期棟まで庫腹能力14万7,000t、平成27年3月に閉鎖されるまで44年間にわたり首都圏の主に畜肉の物流拠点としての役割を担ってきた。畜肉貨物の割合が多く“畜肉の団地”と言われていた」と述べたうえで建て替えに至った経緯も交えて、新冷蔵庫を紹介した。
その中で「代替地に建て替えることが長く検討されたが、最終的に現有地での建て替えに決まったのは平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災がきっかけだ。幸い当社施設には大きな被害がなかったこともあり、現有地での建て替えを前提に最終案をまとめることが決まった」「しかし建設コストの高騰が新たな難題となった。震災復興や国内の老朽化したインフラ整備、2020年東京オリンピック開催決定による首都圏の開発等が資材の高騰、建設現場の作業員不足に拍車をかけた」「平成25年の国土交通省による物流大綱には東京臨海部の老朽化した冷蔵倉庫の設備更新が明記され、国土交通省、環境省、経済産業省の各省の補助事業の活用に目途が立ち、低金利政策も相まって採算性改善の途が開けた」などと曲折を明かした。
〈先導的プロジェクトとして支援=重田審議官〉
国交省の重田物流審議官は祝辞のなかで次のように述べた。「国交省として現在、生産性革命を進めている。労働生産人口が減っているが、成長戦略の中では人口減少を上回る生産性向上を業界の皆さんと一緒に進めていこうと考えている。昨年7月には第2次安倍内閣として2回目の中長期物流ビジョンとなる総合物流施策大綱を閣議決定した。国交省だけで物流の生産革命ができるわけではない。経産省、環境省ほか関係省庁と一緒に取り組んでいく。コールドチェーンにおける拠点事業として団地冷蔵の倉庫建設は政府のリーディングプロジェクトと位置付け、政府内のハイブリッドで支援させていただいている。国交省と経産省の共同所管の物流総合効率化法では輸配送と拠点の接続を改善が目的で、これにより地方税を中心とした税制支援で開業後5年間の減免を行える。またこれからは環境負荷の低減が極めて重要だ。特定フロン(廃止)は2020年に迫っている。省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業として財源、制度の道筋が作られている。羽田を中心とした国際競争力強化拠点区域内で、国交相は国際競争流通業務拠点整備事業を適用してインフラ面の助成も行っている。いろいろな側面から首都圏のみならず日本全体の食を守ってもらう拠点事業として是非成功してもらいたい。石井啓一国交大臣も昨年視察し、日本のコールドチェーンの代表例として全国に水平展開する必要があるという評価だった」
同社役員による鏡開きの後、マルハニチロ物流の川文人社長が乾杯の音頭を取った。中締め挨拶は東洋水産の今村将也社長が務めた。
〈冷食日報 2018年3月9日付より〉