加工米飯市場、無菌包装米飯と冷凍米飯がけん引し6.7%増/18年1~8月
無菌包装米飯(白飯)は4~8月に約13%増、レトルト(味付き)は10%増と推計され、両者の比率は9対1。特に6月以降、豪雨や台風、地震といった災害の影響によって備蓄需要が喚起され、特に無菌包装米飯の引き合いが強まった。北海道を襲った地震では、サトウ食品の北海道工場が3日間操業を停止し、一時的に供給がタイトになった。
一方、無菌包装米飯を上回る生産量規模の冷凍米飯は2017年が6.8%増、今年1~8月も8.1%増と好調推移。特に近年、炒飯類で大手各社がしのぎを削る競争を繰り広げてきた中で市場が拡大。品質の向上に加え、消費者の簡便調理志向が高まる中、レンジ調理だけで外食にも迫る品質の炒飯・ピラフ類等を実現し、人気を集めている。
さらには、CVSがPBで積極的に冷食を展開する中、ユーザー層も従来の主婦層から若年男性層にまで拡大し、市場拡大に繋がっているものとみられる。
〈原料米価格は4年連続上昇基調、包装米飯は昨秋以降値上げも〉
原料うるち米価格は平成30(2018)年産米も小幅ながら値上げが続く見込みで、値上げ幅は玄米60kgあたり100~500円が中心となりそう。農林水産省が公表している29年産米の相対価格は、8月の全銘柄平均価格が1万5,683円となり、前年同期と比べて1,200円上昇している。
現在の民間取引では、30年産の茨城・栃木・千葉などいわゆるB銘柄が1万4,000~1万4,800円で売買されており、A銘柄の新潟コシヒカリや道産米は1万6,000円前後の取り引きとなっている。
米価は平成26(2014)年産米で底を打って以降、30年産米まで4年連続の上げ基調。26年産米と29年産米の相対取引価格を比べると、概ね3,000~4,000円高となっている。その値上げ幅もさることながらA銘柄とB銘柄の格差が1,000円台と大きく縮小している。
産地事情をみると、全国的に作柄は悪くはなく、「豊作かはわからないが、平年作は米違いない」という声は多い。ただ、北海道は低温、寡照が続いたほか地震や豪雨に見舞われた影響もあり、作柄については懸念される。そのため古米となった29年産ゆめぴりか、ななつぼしなど道産米の引き合いが強まっている。
包装米飯市場が右肩上がりの成長を続けるなか、原料米価格の上昇が水を差すことになるのではないかと不安の声も高まっている。原料うるち米の価格上昇をうけ、サトウ食品は昨年11月出荷分から1パックあたり2~10円、はごろもフーズは18年1月出荷分から10~20円、テーブルマークは18年2月出荷分から約1~17%、ウーケは18年2月出荷分から8~18%、東洋水産は18年3月から10~15円の値上げを実施した。
一方、包装米飯よりも一般的に加工度が高い冷凍米飯では、いまのところ値上げの動きはほとんどない。ただ、有力メーカーも「他の原料や物流費、人件費なども上がっており、値上げしたいのはやまやまだ」とコスト増には頭を悩ませている状態だ。
〈冷食日報 2018年10月18日付より〉