日本水産18年度上期、業務用冷食売上高は調理品減を農産品が補い前年並/松島業務用食品部長
日本水産単体(国内)の18年度上期の業務用調理冷食の売上高は前年比2.3%減171億円と減収も、約半数を業務用が占める農産冷食の売上高は7.9%増64億円で、業務用冷食合計の実績は、金額ベースで概ね前年並となった。松島和浩執行役員食品事業副執行業務用食品部長に話を聞いた。
業務用調理冷食では、昨年2月、10月と2度にわたって主要商品であるイカ唐揚げを、原料価格高騰のため値上げしたことによる需要減、前年同期に大手CVS 向けカウンター商材があったことのウラに当たる影響があった。収益面では、水産品では引き続きイカの原料不足が続くとともに、すり身も値上がりしており、原料価格上昇に苦しめられた。松島部長は「水産会社として水産物商品は重要だが、価格変動の波が大きい。鶏など他のカテゴリーの比率も増やし、全体のバランスを取りたい」と言う。
主要カテゴリー別では▽水産揚物類=前述のイカ唐揚げの影響もあり不調▽中華(シューマイ・春巻)=好調▽クリーミーコロッケ=昨春3品発売し、一巡したことから若干減▽鶏加工品=新規大口もあり大変好調▽すり身製品=前年並▽グラタン・ドリア=大口不調もNB 好調で微減▽枝豆・農産=堅調な枝豆に加え自然解凍のパパっとベジアイテム増もあり好調▽調味エキス=前年並――という状況だという。松島部長は「カテゴリー別に見ると凹凸がありながらも何とか乗り切った」と語る。
販売ルート別では、CVS は前述通り上期は苦戦気味も、下期には手当てができており見通しは良い。それ以外の業態は上期に大きな変動がなく、下期は良くなっている。外食はインバウンド需要もあり、ビジネスホテルも含めた宿泊施設のビュッフェ向け中心に、人手不足対応の地道な活動を展開し堅調。また、外食でも簡便性と歩留まりの高さなどから、凍菜が伸びているという。
今春の新商品では、「本格中華10品目の具材の春巻」が好調。17年春発売の「パリっと7種の具材の春巻き」の付加価値を上げて切り替えた商品。また、すけそうだらフィレ1枚まるごとの「ジャンボたらカツ(スキンレス)170」は、大きさのインパクトも評価され好調だという。
〈業態別に簡便調理商品を開発、製造現場で生産性工場図る〉
上期・下期共通の重点施策として、1つ目は調理現場の人手不足に対応し、中食・外食・給食各業態それぞれに合った、簡便調理を意識した商品の開発を進めること。
もう1つは、製造工場でも人手不足が進みつつあり、今期に限らない中長期的な視点から、工場での機械化・自動化も含め、生産性向上を図ることを挙げる。同社では、労働人口減少に対応し、今年度から「スマートワーク2025活動」を推進し、2025年までに配員数15%削減・総合生産効率50%向上を目指している。松島部長は「働き方改革もあり、製造現場で無理をした勤務体系は取れなくなっている。そういう意味で生産能力は少なくなっている。その中で、機械化・自動化やアイテム統合も含め生産性を上げるとともに、安定供給できる体制づくりに取り組んでいる」という。
〈台湾・大明食品枝豆工場は今月一部稼働、来年本格稼働〉
なお、生産設備面では、既に完成していた台湾・大明食品の冷凍枝豆新工場が今月末から一部稼働を開始。品質等のチェックを経て、年明けから本格稼働に移る見通し。また、大型投資ではないが、直営の安城工場でシューマイの生産設備増強を図る。
また、農産品では学校給食・生協など、国産に価値を見出す業態があり、生産者と連携し、国産農産品の品揃えを強化。「現時点ではボリュームとしては全体の5%ほど。天候不順などあり調達も難しいが、年間安定取引により、価値観を共有できる生産者と長い目でお付き合いし、国産比率を高めたい」という。
〈冷食日報 2018年11月15日付より〉