〈冷食流通インタビュー・小売〉無印良品、ひと手間で食卓のメニューに 支持される商品開発を/良品計画
――冷凍食品市場全体をどう感じているか
以前は冷凍食品を使うことが、使う人にとっては手抜きのように感じられて、罪悪感があったように思う。しかし、使いやすさもあって生活に徐々に根付いてきている。ヨーロッパなどでは冷凍食品専門店も多く、日本よりも多様な商品がある。日本でも冷凍技術の進歩から美味しい商品も増え、大手メーカーではない商品も登場している。
――無印良品から冷凍食品の販売が開始して半年近くがたつ。現状は
メディアなどで取り上げられる機会も多く、売り上げは順調に推移している。認知は少しずつ拡大しているが、展開店舗数が少ないためまだまだこれから。当社の冷凍食品はスーパーなどで売っている商品とは購入動機が違う。スーパーの場合は「食品を買いに行く」という目的がはっきりとしている。無印良品の場合は、雑貨など他の商品とのついで買いが目立つ。また、スーパーで販売している商品は、晩御飯のメニューとしてより、おやつや弁当のおかずの利用が目立つため、無印良品では食事のメニューになる商品を並べている。
――主な商品展開は
コンビニやスーパーで売れている商品を、無印良品で売るのは難しい。当社の商品は一般的な冷凍食品と違って、ひと手間加える必要がある分、しっかりとした味を楽しめる商品をそろえた。例えばホットサンドの場合、一度レンジで解凍してからオーブントースターで温める手間はあるが、焼き立てのパンの風味を味わうことができる。開発は、別の商品で一緒に取り組んでいるメーカーなど、商品への考え方などに共感してもらえたところと一緒に進めている。
――どのような商品が中心か
玄米や五穀米を使ったおにぎりや、豚角煮を入れたちまき、ビーフストロガノフ、韓国風海苔巻きのキンパなど幅広くそろえた。店頭では商品を約50SKU 展開している。ただ、この品目数だと売り場のスペースには余裕があると感じており、必要に応じて商品を拡充できればと思う。
――販売店の今後の拡大は
現在14店舗まで広げているが、設備の状況などもあり急には進められない。店内で冷凍設備のための電源を取ることができるなど、整ったところから改装して増やしている。
――ネット販売は
近隣に店舗がないが、商品に興味を持ってくださったが利用してくださることも多い。また、各種キャンペーンを実施した時に売り上げは大きく伸びている。ただ、実店舗とネット、どちらが好調かは一概には言えない。
――店舗での取り組みは
店頭では試食販売なども行っており、より魅力が伝わるよう、本部としても教育体制をしっかり確保して取り組んでいく。また、無印良品の店舗は生活圏にないことも多いため、商品を長時間安心して持ち帰っていただけることも意識して梱包している。
――今後については
私たちの商品展開はまだ取り組めていないカテゴリーはあると感じる。お母さんたちの家庭での負担を少しでも軽減でき、ひと手間加えるだけで食卓を豊かにできる、美味しいメニューを今後も提案できれば。
良品計画 食品部調味加工担当課長 鈴木美智子氏
〈冷食日報 2019年2月22日付〉