大手コンビニ3社で冷食が伸長、セブン・ファミマ・ローソンそろって売場拡大へ
各社とも冷食の売り上げを順調に伸ばしている。セブン-イレブンの2018年の売り上げは前年比約10%増、ファミリーマートも約10%増、ローソンは3~8月は前年同期比25%増で、9月~2019年2月も前年を上回る実績で推移している。
セブン-イレブンは、冷凍食品の売場を拡大するなどした新レイアウトの導入を、2020年度までに1万2,010店で取り入れる。当初の予定より1年前倒しの取り組みだ。19年2月における冷凍食品の1日当たりの販売額で地区平均から4,100円多くなるなどの成果をあげている。売り上げや荒利の改善をより進めていく。
18年度の新レイアウト導入店数は累計で3,400店舗に上る。19年度は計画よりも2,800店舗多い6,000店舗で取り入れる考えだ。
ファミリーマートは今年9月を目標に、4,000店で冷凍食品の売り場を拡大する。冷凍ケース3台分から4台分に拡大したい考えだ。「まだ2台分の店舗も多いため、少なくとも3台にはもっていこうとしている」(佐藤英成商品・物流・品質管理本部長)という。
ローソンも売り場を拡大する方針だ。竹増貞信社長は「冷凍食品はレンジで調理するだけで、圧倒的な美味しさがある。廃棄も少なく店利益にも優しい」と期待を寄せる。
〈セブンは「おかづまみ」シリーズで新商品を投入〉
商品戦略も各々の強みを活かして展開する。セブン-イレブンは、トレーと商品が一体となった「おかづまみ」シリーズで新商品を投入する。同社の冷食売り上げ全体からは「今は決して大きくはない」ものの「さらに売り上げを増やせるポテンシャルはある」と期待を寄せる。実際、お花見シーズンには、自然解凍でも喫食できる商品は販売を伸ばしたという。
〈ファミマは果物や野菜系の商品を拡充〉
ファミリーマートは売り場拡大とともに、果物や野菜系の商品をより充実させる。3月に伊藤忠商事のフルーツブランド「Dole(ドール)」から展開する商品を拡充したほか、同社のプライベートブランド「お母さん食堂」から「スイートコーン」や「ミックスベジタブル」「肉入りカット野菜」を投入した。また、ナショナルブランドで人気の高い商品から小容量タイプの商品も先行販売品として販売している。
「Dole」の冷凍フルーツに「完熟マンゴー」を投入(ファミリーマート)
〈ローソンは高付加価値品と値ごろな商品の両面から訴求、成城石井ブランド商品展開も〉
ローソンは高付加価値品と値ごろな商品の両面から訴求する。「ローソンストア100」などで扱う値ごろな商品と、成城石井ブランドの商品など高品質な商品を提案し、幅広い要望に応えられるようにする。
「成城石井desica」ブランドの冷食中華(下段)を展開(ローソン)
一方、ミニストップは売り場拡大を見直す考えを表明した。「冷食の売場を増やした分、減らした棚の売り上げをキャッチアップできなかった」(藤本明裕社長)ため。商品開発の遅れも影響した。今後は別の形で冷食の提案を検討する。
〈セブン「炒め油香るチャーハン」などコンビニ業務用レンジ対応の即食型も〉
時短ニーズの高まりを背景に冷凍食品の販売は堅調な推移を見せる。スーパー各社でも順調で、中でもパスタは高付加価値商品も前年を上回る売れ行きだ。「冷凍食品のパスタのほうが、自分で作るよりも美味しくて簡単との声もある」(コンビニ広報担当)など、着実に支持を広げている。
今後、コンビニで業務用レンジ対応の商品投入はさらに増える可能性もある。セブン-イレブンは、店頭の業務用レンジ(1,500ワット)にも対応した商品「セブンプレミアム 炒め油香るチャーハン」と「セブンプレミアム バター香る海老ピラフ」で、今までなかった店頭温めの実現で新しい食シーンを提案。販売は袋チャーハンと比べて、約2倍となっている。
店頭温めを実現した「炒め油香るチャーハン」と「バター香る海老ピラフ」(セブン-イレブン)
ファミリーマートやローソンも業務用レンジに対応した商品の投入に意欲を見せている。各社からこうした商品が出そろったとき、新たな競争が見られるかもしれない。
〈関連記事〉コンビニで冷食需要が拡大、新商品投入が活発化、売場も拡大傾向に=https://www.ssnp.co.jp/news/frozen/2019/03/2019-0311-1210-14.html
〈冷食日報 2019年5月8日付〉