「大阪王将」のイートアンド、食品事業が初めて外食事業を上回る/2019年3月期決算
イートアンドが5月8日に発表した19年3月期連結業績は、売上高3.5%増291億6,400万円、営業利益8.2%増8億3,400万円、経常利益7.4% 増7億9,800万円、最終利益56.1%増3億3,600万円と増収増益だった。欠損のある子会社を清算したため、最終利益の増益幅が大きかった。セグメント別でも、食品事業、外食事業ともに増収増益で、冷食を中心とした食品事業の売上高が初めて外食事業を上回った。今期も増収増益を計画する。同日、都内で仲田浩康社長らが出席し、決算説明会が開かれた。
イートアンド 仲田浩康社長
食品事業の売上高は、前年比6.2%増148億9,000万円、セグメント利益は11.9%増6億0,600万円と増収増益。冷凍の配荷店舗数は焼餃子が1.1%増2万2,370店、水餃子が5.4%増1万6,936店舗といずれも増加。仲田社長は「焼餃子は一杯に近づいてきたが、水餃子はまだまだ配荷店舗拡大の余地がある」とした。
足元の概況については「昨年11月ごろから市販冷食市場があまり良くなく、我々も若干苦戦気味だった。暖冬など、さまざまな要因が考えられるが、この3月以降は持ち直し、4月は出荷ベースで(前年より)10%増ほどになっている。ただし、連休が長く卸・小売が多めに取った(仮需)可能性もある。感触としては良い」「4月にはテレビ番組の冷食総選挙で主力の『羽根つき餃子』が2位となり、放映以降非常に好調。また、今春発売の新商品『羽根つき小籠包』が日経トレンディ誌のバイヤー投票で2位となり、配荷が非常によい。引き続き自社製造商品の構成比が高まるよう努力したい」など述べた。
3月発売の冷食「大阪王将羽根つき焼き小籠包」は出荷好調
外食事業の売上高は1.0%増142億9,400万円、セグメント利益は4.0%増3億9,100万円とこちらも増収増益。天災被害から一部店舗で休業や営業時間短縮の影響があったが、物流面で迂回ルートを確保し、被災地以外の各地域で販促を強化するなど業績への影響は最小限に留めた。
19年3月期末の店舗数は出店が加盟店25(うち海外12)、直営店13の計38店舗、閉店が加盟店36(うち海外11)、直営店4の計40店舗で、合計では前年比2店舗減の482店舗となった。
主力業態「大阪王将」では店舗外観の変更に着手。これまで赤/白、赤/黒など赤を主体としたカラーリングだったが、今年9月に50周年を迎えるに当たり、「原点回帰」を掲げ、黄色を主体とした昭和を感じさせるようなレトロなファサード“トラディショナルモデル”を導入。改装店舗では、売上高が30%増になるなど好評で、今後の改装ではこのモデルを採用する方針。
一方、外食事業の生産性向上では、以前は機械化も模索していたが、今後は人手調理にこだわりつつ、包丁レス・仕込みレスなど調理以前の工程を縮減するとともに、メニュー数を絞り込むことなどで実現する方針だという。
外食事業の人材育成では、QSC(クオリティ、サービス、クリンネス)を高める活動として、この4月から「大阪王将大学」を設置。従来店舗ごとの指導だったところ、アカデミーとして集約し、スキルとマインドの教育効果を高める方針だという。
〈今期も増収増益を計画、消費税増税の影響は少ないと見る〉
20年3月期は、売上高4.2%増304億円、営業利益3.7%増4億8,000万円と増収増益を計画。利益面でセグメント別に見ると食品事業が11.1%増6億7,800万円、外食事業が17.6%増4億0,700万円を計画する。
前述の通り、今年9月に「大阪王将」店舗が50周年を迎えることから、外食事業・食品事業ともに、毎月さまざまなキャンペーンを実施。TVCMの放映や量販店店頭での販促にも力を入れ、売上拡大を図る。
twitterで実施した「50年間餃子無料キャンペーン」も話題に(応募は締切済み)
なお、消費税増税の影響について仲田社長は「外食は正直言って影響があると思うが、内食が伸びると見られ、外食事業と食品事業を持つ当社の特長からすればプラスマイナスゼロではないか」「(外食の)持ち帰り対応についてはまだ100%固まってはいない。表記の見やすさなど、間もなく固めたい」とした。
〈冷食日報 2019年5月9日付〉