〈ニチレイフーズ・滝英明業務用事業部長インタビュー〉営業は顧客と生活者に近づき、商品はプロをうならせるような開発を

ニチレイフーズ・滝英明業務用事業部長
――2019年度の業務用事業部門の実績について

2019年度は前年比1.5%増収の着地だ。2月末からコロナ禍が影響したが、増益となった。2019年3月1日に価格改定を行い、10月には消費増税もあった。その中でも12月は過去最高の売上げを記録した。ハンバーグの強化策や春巻類の施策の成果、また秋の新商品が浸透してきたタイミングも合致した結果だ。

秋の新商品では「3種のチーズロール」がヒットした。「北海道かぼちゃとチーズソースの包み揚げ(栗かぼちゃ使用)」もハロウィンあたりから好調が続いた。リニューアルした「ランチディッシュバーグ」も給食業態向けに好調だ。夏場にはご当地シリーズのから揚げも販売を伸ばした。

業態別で見ると、売上構成比が高い惣菜が3~4%増、病院・高齢者施設も堅調に伸びた。外食は前年並みの着地だ。

――コロナ禍の影響は

3月単月は売上げに対して10%ほどのインパクトがあった。外食と事業所給食への影響が大きい。

外食にはチキンや冷凍野菜など当社商品のお取扱いが多いカテゴリーを中心に、卸売様とも連携して取り組めることを考えている。その一環としてホームページにテイクアウト向けメニュー提案を公開した。

初めてテイクアウトに取り組む際にメニュー開発や夏場の衛生対策など悩みがあると思う。その解決を手伝えることとして考えた。

惣菜について、当社は4~5月累計で前年並みで推移したが、4月のマーケット状況は不振だった。ただスーパーマーケット市場では今までストック型消費が伸びていたが、これが落ち着いてきている。今後、惣菜など消費型に移っていく部分があると見ている。

外食を控える生活者も多いと思うので、有名シェフの監修を受けている「シェフズスペシャリテ」シリーズや日本唐揚協会による監修の唐揚げシリーズなどを強みとして、ちょっとした贅沢感や楽しさを売場に提供していきたい。

――今年度の業務用事業の計画について

2020年度の売上高は事業部として4%増を計画しているが、コロナ禍による市場の縮小で進捗が遅れているのが実情だ。

業務用冷食の市場自体は今後の回復次第ではあるが、市場の14~15%程度減少する可能性がある。先の取り組みなどを通じて計画達成を目指したい。

今期の重点施策としては、第1にハンバーグの強化だ。全業態に向けて拡大を図る。冷凍野菜、チキン、春巻といった主要カテゴリーにも引き続き注力していく。

新商品では弁当向けに「アンガスビーフハンバーグ」などが好調だ。今春は冷凍野菜と肉や調味料をキット商材に仕立てた「Vegedelica(ベジデリカ)」シリーズを発売した。惣菜売場に野菜が少ないことから、しっかり野菜が摂れるメニューとして、また少しアッパーに見えるものを売り場に並べることを狙った。

今後は店頭の単価を上げる手伝いもしていかなければならない。単品ではなくセットにすることで付加価値を高められると考えており品ぞろえを拡充していきたい。

――事業部長としての抱負を

市場環境が厳しい中“コロナに負けるな”というところだが、営業面については、業務用の営業はよりお客様、生活者に近づかなければならないと思う。三方よしとはよく言われるが、自社の事業が取引先の利益や社会の利益につながることを意識してほしい。

商品面については、我々には高い製造技術があると自負しているので、市場でプロをうならせるような商品を作りたい。業務用は家庭用に比べるとアイテム当たりの販売ボリュームは小さい。より専門的な価値であったり、ブランドが表に出ない分、おいしさ、安全性を含めた品質を研ぎ澄ませていきたい。

〈プロフィール〉滝 英明(たき・ひであき)氏
1967年4月2日生、明治大卒。92年ニチレイ入社、中部営業支社食品課配属から一貫して業務用に携わり、2017年東北支社支社長に就任。2019年10月に業務用事業部業務用商品部長に就き、2020年4月から業務用事業部長兼業務用事業部業務用営業部長。愛知県出身。

〈冷食日報2020年6月22日付〉