ヤフー・アスクル・出前館「Yahoo!マート by ASKUL」を本格展開へ、最短15分でお届け、都23区全域カバーを2022年度中に
2022年度中に「ヤフーマート」を数十店舗規模で出店し、都内23区すべてのエリアと他の一部エリアでのサービス拡大を目指す。2023年度以降は他の地域での拡大も検討する。26日に開かれた記者会見で、秀誠執行役員は「海外はアメリカや中国、韓国で、料理だけでなく、(日用品などの)商品のデリバリーが拡大している。日本でも商品のデリバリーのニーズは大きく拡大すると思う」と今後に期待を寄せる。
「ヤフーマート」は、出前館のサービスから注文できる。アスクルで販売する食料品や日用品を中心に約1500品目を扱う。商品を注文して決済すると、最短15分で商品を受け取ることができる。配送は出前館の配達員が行う。
ZHDグループでは2021年7月末から食料品や日用品を即時配達する実証実験「PayPayダイレクトby ASKUL」を行ってきた。現在は都内8店舗を開設している。
実証実験では、2021年10月から12月の2カ月で月間注文数は10倍まで増加した。出前館における12月の店舗別売上ランキングの1位も獲得したという。アスクルの輿水宏哲取締役執行役員によると、2021年7月に初回利用をしたリピート顧客の平均注文頻度は「3.7日に1回だった」という。
この実証実験の結果から、名称を「PayPayダイレクト」から「ヤフーマート」に変更し、本格的な展開へと踏み切る。
日用品や食料品に加え、アスクルやロハコのオリジナル商品も販売する。21年12月に売れた商品の内訳は、「食料品」34%、「水・飲料・酒」18%、「日用品」17%、「冷凍食品・アイス」16%、「チルド・日配品」15%――となっている。
輿水執行役員は、食品について「サービス開始当初は、米やソフトドリンクなどが販売の中心だった。しかし、新たに投入した冷凍食品やアイスが大きく伸びている」と話す。食品以外では「日用品のトイレットペーパーや電池なども想定以上だった」と振り返る。
今後はメーカーと協業し、新製品の発売や販促、マーケティングを強化する。また、催事や季節品も投入する。
出前館にとっても、ランチとディナー以外の時間帯は注文が減るため、日用品や食料品の配達を行うことで新たな売上につながる。配達員にとっても終日安定して業務を行えるため、労働環境の安定化にも寄与する。
現在の配達カバーエリアは、板橋区大山、渋谷区代々木上原、中央区日本橋、墨田区横川、港区三田、新宿区神楽坂、大久保、台東区上野――となっている。
共働き世帯や高齢者の増加、コロナ禍による在宅時間の増加など、インターネット通販やデリバリーへの需要は継続すると、同社グループでは想定している。
〈冷食日報2022年1月27日付〉