通販サイト「ニップンダイレクト」にEC限定ブランド「ネスト(nest)」、“ニップンが作りたかった”生パスタとソース、将来的にはコースメニューも〈ブランドの創りかた〉
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食材や調理法などにこだわった冷凍の生パスタとソースを扱っている。まずは、1回の注文でパスタとパスタソースを、ニップンでセレクトした2つのメニュー(各2食・計4食分)を届ける定期便という形をとっている。
価格は、1回の注文で税込4298円(初回注文は税込3240円)に設定しており、ニップンで扱ってきた商品の中でも高額な部類にあるという。なぜ、新ブランドを立ち上げて、新たな挑戦を行うことにしたのか。営業企画室の石倉あすみさんに聞いた。
ニップン営業企画室の石倉氏
「nest」は、英語で「巣」を意味する。この名前には、「食べてくださる方に寄り添いたい」との思いを込めたという。
「ネスト」ブランドは、常に新しい美味しさを追求するブランドとして、既存ブランド以上に上質感のある世界観を目指した。「地中海式食事法」を取り入れ、厳選した国産食材を使用したメニューを展開している。
地中海式食事法は、適度に魚や肉を摂取しながら野菜を中心に食べるという、イタリアやギリシアなどの伝統的な食事法。石倉さんは「ただ美味しいだけでなく、楽しみながら身体に配慮した食事を味わって欲しいと思いから取り入れました」と語る。
家族や友人とくつろぎながら、自宅などで外食同等の食事を楽しめるような料理の提供を目指している。コアターゲットは、40~50代で時間などの余裕がある人に設定した。
商品は、「黒毛和牛のボロネーゼ」や「蟹のトマトクリーム」、「駿河湾産サクラエビのペペロンチーノ」などがある。現在は、月に1度、ニップンでおすすめのメニュー2種を、2食分ずつ届けるという形になっている。商品は湯せんなど簡単な調理をする必要はあるものの、好きな時に食べられるという冷凍食品の強みが活かされている。
商品について、石倉さんは「ニップンが作りたかった、一番美味しい生パスタとソースです」と力を込める。通販などで冷凍の付加価値商品の提案が盛り上がる中、「満足いただける美味しさをより一層追求しました」と話す。
なぜ通販限定で立ち上げたのだろうか。その理由の一つはECの強化だ。コロナ禍でさまざまな市場が生まれる中、ニップンは新たな販路を拡大すべく、今回のECサイトリニューアルに踏み切った。
目玉となる施策を思案する中で、通販限定ブランドの立ち上げに至ったという。完全新規のブランドとしてスタートした理由を、石倉さんは「派生ブランドとしての展開も考えましたが、今まで接点のなかった方と新たな関係を築いていくため、新規ブランドにしました」と明かす。また、EC通販ならばサイトや、パンフレットなどの同梱物で顧客と直接コミュニケーションでき、世界観を伝えやすい点もプラスだった。
目指したのは、隠れ家レストランのような美味しさ。「値段以上の価値が無ければ続けてもらえない」との考えから、素材やレシピを何度も検討し、試作を行い、今回のブランドの立ち上げに至った。
石倉さんは「1食当たりの価格が1000円を超えるような商品の開発経験が今までなかったため、さまざまな試行錯誤がありました。レンジ調理でなく湯せん調理のため、そこに見合う価値をどう提供するかも考えて、今の形になりました」と振り返る。
定期便という形式も「普段自分で選んでいる味ではない、新しい発見を楽しんで欲しい」という想いから選択した。販売促進として、BS放送とCS放送でインフォマーシャルの放映を開始した。YouTubeやブランドサイトでも同様の内容を放映している。
将来的にはコースメニューとしての展開も視野にあるという。石倉さんは「お店に通うように、1品1品を楽しんでもらえたら嬉しいです」と力を込めた。
〈冷食日報2022年6月1日付〉
◆通販サイト「ニップンダイレクト