明治・伊藤ハム米久・マルハニチロ「めざせ1日80g!たんぱく摂ろう会」コンソーシアム設立、ウェルネス社会の実現に向け重要性を啓発
長野県佐久市、公益社団法人日本栄養士会が同コンソーシアムの活動理念に賛同して連携する。「めざせ1日80g!たんぱく摂ろう会」では、たんぱく質摂取の啓発を通じ、すべての年代の人々が心身共に健康で安心して暮らせる社会の実現を目指す。
啓発活動では、食品業界を中心に産業界、地方自治体、職能団体が垣根を越えて連携し、今後、教育機関や研究機関との協業も視野に活動する。6月17日、東京・渋谷の渋谷ヒカリエ ヒカリエホールで明治の松田克也社長、伊藤ハム米久HDの伊藤功一常務執行役員加工食品事業本部長兼伊藤ハム社長、マルハニチロの小梶聡常務執行役員、日本栄養士会の中村丁次会長が出席し、設立記念発表会を開催した。
明治の松田克也社長が同コンソーシアム設立の背景について説明した。コロナ禍以降、ニューノーマルとして新たなライフスタイルが模索される中、心身ともに健康に対する意識がさらに高まり、子どもの体力低下、ダイエットによる体調不良、中高年の基礎代謝の低下、高齢者の動きにくい身体といった各種健康課題が顕在化している。こうした課題を引き起こすとされるのが「低栄養」で、その要因の1つにたんぱく質摂取量の低下が挙げられる。
厚生労働省によれば、日本人の1人1日当たりのたんぱく質摂取量は現在、1950年代と同レベルにまで低下しており、世代別のたんぱく質摂取の目標量に男性は最大13g、女性は最大5g足りていない状況だという。
たんぱく質不足は、若い女性では過度なダイエットが原因となり、貧血などの健康被害や、出産における低出生体重児の増加を引き起こす。また、高齢者では少食や活動量の低下などで筋肉が減り、やせすぎる結果に繋がる。やせすぎは心身の機能が低下する「フレイル」を招き、やがて要介護へと進む一因になるとされる。
こうした状況に対し、日本有数の食品メーカーで、「たんぱく質」を含むさまざまな商品を展開する明治、伊藤ハム・米久、マルハニチロが同コンソーシアムを設立。パーパスとして、たんぱく質が解決できる課題や、たんぱく質の可能性を社会と共有し、「たんぱく質から、人生100年時代のウェルネス社会を実現」することを掲げる。また、ビジョンとして、日本のたんぱく質摂取習慣を変え、意識変容から行動変容に繋げることで、「1日当たり80g」の摂取量を目指す。
活動内容としては、ウェルネス社会(人生100年時代と言われる中、老若男女、すべての人々が心身ともに健康に暮らせる社会)の実現に向けて、さまざまな地域社会において、たんぱく質摂取の重要性についてメッセージを発信していく。
具体的には、日本栄養士会監修の「たべる教科書」を作成。同書は、小学校の中・高学年を対象にした体験学習型の教科書となっている。教科書の前半部分には、たんぱく質の重要性や身体のしくみなどを読んで学べる内容で構成。後半部分はたんぱく質を十分に摂ることができる朝ごはんを調理できる「ミールキット」が同梱されており、食べること一層理解を深めることができる内容とした。
また、具体的な取り組み第1弾として、「健康快適都市」として取り組みを展開する長野県佐久市と連携し、9月上旬ごろ、市内の小学生に向けて「たべる教科書」を活用した食育授業を実施する。
加えて、朝食の欠食率が全国一高いとされる沖縄県を皮切りに、8月上旬ごろから、たんぱく質について学べるイベントを実施。イベントでは“エデュケーションカー”「たんぱく摂ろう号」を活用する。
今後、こうした自治体と連携した取り組みやイベント実施による啓発活動は、全国各地で行っていくことを予定する。
なお、発表会では日本栄養士会の中村会長が「もっとたんぱく質を」と題し、たんぱく質の重要性や摂取の現状などについて講演した。
〈冷食日報2022年6月20日付〉