清酒値上げ影響、ビール類に比べ微減 関西sM・生協アンケート

6月1日から改正酒税法と酒類業組合法が施行され、「酒類の公正な取引に関する基準」の適用がスタートした。過度な安売りの規制を強化するもので、今後は「総販売原価を下回る価格で継続して販売する取引」や「ほかの酒類業者の酒類事業に相当程度の影響を及ぼすおそれがある取引」を行うことはできなくなる。ビール類については「6月から値上げ」と、テレビや新聞などで報道されたこともあり、10%以上の仮需があったようだが、清酒はどうか。本紙では、その影響について、関西のリージョナルスーパーと生協に緊急アンケートを実施。8社から得た回答をまとめた。

5月に値上げを実施したのは8社中7社で、1社は売価の値上げを実施しなかった。全般的に見直したチェーンもあるが、大容量パックやカップの値上げが中心となったようだ。一部では4合瓶も対象となり、「NBメーカーより地方蔵の値上げが目立っている」といった回答もあった。仮需については、「テレビ等の取り上げもビール類のみだったこともあり、思ったより仮需が少なかった」「ビール類と比べ清酒は仮需がない」「ビール類ほどの買いだめ需要はない」と、それほど大きくはなかった模様だ。

その一方、値上げの影響のみが生じるという見方が多く、6月の販売予測については、7社が2~11%減のマイナスを見込んでいる。「チラシ訴求商品の経済酒、上撰パックの価格上昇により減少が見込める」「価格改定による買い控えの影響が数%出る程度と予測」「大容量パックのみ若干とはいえ値上がりしているため、多少の落ち込みはあるものと予想」「値上げ幅がある分、落ち幅が大きい」–。

それでもビール類に比べれば軽微と見られており、「5月の駆け込み需要ではビール類の販売上昇が大きかったため、6月に入っての反動は当面、ビール類へ落ち込み影響があると考え、清酒類は反動が少ないと想定」「ビール、発泡酒、新ジャンルが大きく落ち込むと予測。日本酒・焼酎については93%前後と予測」といった声も聞かれた。5~6月の結果や予測を受けて、今後の清酒の品揃えの変化や対策についても尋ねた。目立ったのは、大容量パックから地酒を中心にした4合瓶へのシフトという声だ。

「経済酒パックはシュリンク市場。伸長の特定名称酒は拡大していく」「大容量パックを減らして4合瓶(特に地酒)の品揃えを強化する。販促も大容量パック一辺倒から4合瓶の訴求も実施する」「パックは価格競争が激化すると予測されることもあり、チラシにおいても4合瓶やオリジナル商品を打ち出し、値頃感を出す」「売り込み商品をパック清酒から特定名称酒(瓶)にシフトする」–。

季節商品の提案や夏場に向けた提案強化も図られる。「季節商品の4合瓶の品揃え強化により露出を高める。メーカーとの協業により、売り込み商品の明確化とメニュー提案。価格に左右されない訴求を行う」「地酒などの地域対応品や留型規格での価格訴求品の仕入れに取りむとともに、ビールに代わる需要としてチルド(冷やした)清酒類の販売に注力しようと考えている」「これから夏に向かうにつれて実績が苦戦するカテゴリーなので、飲み方提案(ロックなど)を強化し、実績の下落幅を抑えるように現場に情報発信する」–。