21年目の「立春朝搾り」、3蔵増の全国43蔵で開催、約31万本出荷 東京・石川酒造など3蔵が初参加―日本名門酒会

日本名門酒会に加盟する清酒メーカー各社は4日、毎年恒例となる「立春朝搾り」の出荷を行った。

同商品は全国の同会加盟清酒蔵が、地元の同会加盟酒販店と共同で同日に上槽・瓶詰・出荷される企画商品。「精米歩合60%以下の生原酒」「立春の朝(2月4日)から上槽を始める」「地元の神社の神主からお祓いを受ける」という3つの条件以外にルールは無く、使用米やアルコール度数、上槽方法などについては各メーカーの裁量に委ねられる。また、当日早朝に酒販店が蔵に赴き、同商品に自ら肩ラベルを貼り、そのまま店舗に持ち帰り販売を行うという点も特徴の1つ。

当日早朝に酒販店が蔵に赴き、同商品に自ら肩ラベルを貼る

21年目の「立春朝搾り」は、北は北海道、西は大分まで日本全国43蔵が参加。過去最高となる720ml瓶で約31万本が出荷された。なお、今回初参加の蔵は茨城県の月の井酒造店(月の井)、島根県の簸上清酒(七冠馬)、東京都の石川酒造(多満自慢)の3蔵。

21年目の「立春朝搾り」は、北は北海道、西は大分まで日本全国43蔵が参加

同会の飯田永介本部長は「今年は31万本を超える販売数量になると推定されるが、これも各加盟店が1人ひとりのお客様に丁寧に声をかけ、1本1本の受注を積み重ねた努力の集大成。“立春朝搾り”は加盟店、支部、蔵元、本部が互いに協力し、お客様としっかり向き合い、今年一年、季節ごとの活動を継続しながらお客様の期待に応え、信頼を築いていく活動の原点と捉えている。この“全員の努力と、明日からの活動の継続が、必ず個々の成果に繋がる”と信じている。同商品を心待ちにされているお客様の為にも、くれぐれも事故の無いよう、笑顔と安全で届けて頂きたい」とコメントした。

〈初参加の東京・石川酒造「多満自慢」は約2,150本を出荷 、「キレがある食中酒、皆で鍋など楽しい状況で飲んでもらえたら」〉
今回企画初参加となる東京・石川酒造では午前6時30分に地元の同会加盟酒販店が集合。開会式で挨拶を行った同社の石川彌八郎代表取締役社長は「初参加と言うことで、同会とも入念な打ち合わせを重ねてきた。各酒販店様の努力もあり、今回出荷する商品はすでに飲む人も決まっていると聞いている。仕事と言うのは相手の喜びがあって初めて充実感を得られる。そういう意味で非常にありがたい商品だと思っている。今年のみならず、来年以降も続けて参加していくつもりである」と挨拶。

石川酒造・石川彌八郎代表取締役社長(左)と前迫晃一杜氏(右)

石川酒造・石川彌八郎代表取締役社長(左)と前迫晃一杜氏(右)

続いて登壇した前迫晃一杜氏は「さっぱりとキレのある、食中酒として味わって頂きたい日本酒が出来上がった。みなでワイワイ鍋などを囲みながら、楽しんで頂ければ」と完成した日本酒について解説。製造については「上槽の日が決まっている商品なので、新酒鑑評会出品酒と同じぐらい気を使いながら発酵を進めた。1月22~23日に降った大雪の影響で醪が低温になり過ぎるというトラブルも発生したが、“立春朝搾り”の経験がある小澤酒造(澤乃井)や五十嵐酒造(天覧山)からもアドバイスを頂きつつ、完成にこぎ着けることができた」と苦労を語った。

〈酒類飲料日報 2018年2月8日付より〉

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