清酒「灘五郷」、ぶどう酒「北海道」地理的表示指定に関するパブコメ募集開始/国税庁

酒類飲料日報 2018年4月24日付
国税庁は24日から5月28日まで「酒類の地理的表示として灘五郷を指定する件(案)」と「同北海道を指定する件(案)」に対する意見募集を実施する。

「地理的表示“灘五郷”」指定(案)によれば、神戸市灘区(西郷)、東灘区(御影郷、魚崎郷)、芦屋市、西宮市(西宮郷、今津郷)が産地の範囲として指定。

酒類の特性としては「総じて、味わいの要素の調和がとれており、後味のキレの良さを有している」とし、貯蔵したものについては「秋上がりして香味が整いまろやかさを増して飲み飽きない酒質」、純米吟醸酒と吟醸酒については「香味の調和が整うとともに、さらに後味の切れが良い酒質」と説明。

自然的要因については冬季の山おろしである「六甲おろし」についてや、六甲山系の河川が技術的、流通的に同地域の酒造業を発展させてきたこと、特に同地特有の「宮水」については「この地域の地層を通って湧き出る地下水は酵母の増殖に必要なクロールやカリウムなどのミネラル分を適度に含み、着色の原因となる鉄分をほとんど含まない、酒造りに適した硬水をもたらす。これを仕込み水として醸造することにより、強く健全な発酵を促し、味わいの要素の調和がとれ、後味の切れの良い酒質が形成されてきた」と強調する。

人的要因については日本三大杜氏の1つである「丹波杜氏」や、技術者・研究者が技術交流を行う民間の組織である「灘酒研究会」、昭和28年に神戸市と合同で設立した「灘地区地下水調査会」、昭和29年に西宮市と合同で設立した「宮水保存調査会」など、官民、地域一体となった人材育成と酒造技術向上の取組が指定に繋がったと説明。

製法の規定については酒税法に規定された「清酒」の原料を用いたものであることを前提とし、「米および米麹には3等以上に格付けされた国内産米を用いること」「水には灘五郷内で採水した水のみを用いたものであること」「アルコール添加量は原料米の重量の100分の25を超えない量に限る」としている。

また、「酒類の特性の維持」については灘五郷酒造協同組合が酒類の特性を維持するための管理を行う。

〈道産ぶどうのみを原料とし、道内で製造・貯蔵・容器詰めしたもの〉
一方、北海道は酒類区分「ぶどう酒」で、地理的表示を指定する。生産基準案は次の通り。

1、酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性に関する事項。(1)酒類の特性について。白ワインは、豊かで華やかな花や柑橘系の香りと豊かな酸味を有し、フルーティで軽快。赤ワインは、スパイスや果実の香り、はっきりとした酸味と穏やかな渋味を有する。(2)酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられることについて。自然的要因=北海道のぶどう栽培地は、4月~10月は1日の気温の変化が大きく、又冷涼であるため糖度が高く有機酸を豊富に含有するぶどうが収穫できる。また、通年で気温が低く貯蔵温度を低めに維持することができ、果実味が製品化まで維持できる。人的要因=ワイン事業者による独自努力のほか、道産ワイン懇談会の活動によって豪雪や厳寒などの気候に対応した栽培技術が確立したほか、北海道の自然環境に適応したヤマブドウ種やハイブリッド種といった耐寒性品種の開発が積極的に行われてきた。

2、酒類の原料及び製法に関する事項。北海道産ぶどうのみを原料とし、補糖、補酸及び総亜硫酸等の基準(上限等)を満たしたもので、かつ、北海道内で製造・貯蔵・容器詰めを行ったもの。3、酒類の特性を維持するための管理に関する事項。地理的表示「北海道」管理委員会が管理を行う。

なお、ぶどう品種は北海道で現在生産している57品種。化学的要素としては▽アルコール分は14.5%以下▽総亜硫酸値は350mg/kg 以下▽揮発酸値は1.5g/L以下――など、また原料は▽果汁糖度が、ヴィニフェラ種は16.0%以上、ラブラスカ種は13.0%以上、ヤマブドウ種とハイブリッド種は15.0%以上であるぶどうを用いること――などを定める。

〈酒類飲料日報 2018年4月24日付より〉

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