ウルグアイ産牛肉の潜在力にセミナー、品質の高さが国際市場で評価-ALIC

畜産業振興機構は28日、東京・港区の同機構でウルグアイ産牛肉に関するセミナーを開いた。日本でウルグアイ産牛肉は馴染みが薄く、口蹄疫ワクチン接種清浄国のため輸入が禁止されているが(加熱製品のみ輸入可能)、国際市場、とくに欧州では高品質な牛肉として認知されている。日本でもウルグアイ政府からの輸入再開要請を受け、食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会で審議が進められているところ。今回のセミナーは同機構職員の現地調査を踏まえたもので、ナチュラルでかつ温帯種由来の評価の高い牛肉生産国であることや、広大な牧草資源を生かした低コスト生産、全ての牛を対象にしたトレーサビリティ制度、安定的な疾病ステータス、積極的な外資受け入れなどその優位性が紹介され、今後、日本が輸入可能となった場合もその潜在能力の高さがうかがえた。

セミナーによると、ウルグアイは国土(17万6千?)の8割が草地でかつ平坦であるため、農牧畜に適した環境にあり、総輸出額に占める農牧畜業の割合は74.0%(15年)に上るという。この広大な草地を利用した放牧が主体で、品種は温帯種のヘレフォード種やアンガス種が中心で、飼養頭数は1,200万頭(15年、日本は248.9万頭)、年間牛肉生産量は56万5千t(15年)と日本の1.5倍の規模にある。ただ、放牧が主体のため飼養頭数の割には生産量が少ないという。ほとんどが自然交配で、抗生物質や成長ホルモン、増体目的の飼料添加剤、畜産副産物の使用・給餌が禁止されたナチュラルな生産が特長で、生体重量1㎏当たりのコストは1.1~1.2Usドル、出荷金額は1.5Usドル、つまり500㎏で出荷した場合の利益は1頭当たり150~200Usドルという。

フィードロットは130件(経営体)あり、牧草の生育が悪くなる冬季に多く行われ、フィードロット由来のと畜頭数は25万~30万頭(15年)に上る。基本は100日間肥育で、フィードロット由来の9割が、100日以上穀物を給与することが義務付けられるEU向け高級牛肉無税枠(Quota481)に仕向けられているという。パッカーのと畜処理施設は全国36カ所あるが、積極的な外資受け入れ推進政策によって、と畜頭数に占める外資の割合は6割を占めるようになっているという。ブラジル大手(JBs、マルフリグ、ミネルバ)や英国、アルゼンチン、中国、日本(日本ハム)などが進出しており、フィードロットへの投資も含め、ウルグアイ政府や業界では外資を積極的に受け入れているという。