16年度畜産事業取扱高3%減の1兆729憶円、畜産販売1,925億円-全農

全国農業協同組合連合会(全農)は25日、都内で総代会を開き、16年度の事業報告などを行った。畜産事業の同期の取扱額は、畜産販売が1,925億円(前年度比2%減)、酪農が3,155億円(1%増)、生体販売が827億円(14%増)、畜産生産が1,349億円(6%減)、単味飼料・飼料原料では3,472億円(10%減)、畜産事業合計で3%減の1兆729億円だった。

畜産販売事業では、農産物直売所・外食店舖出店による販売拡大、訪日外国人向け和牛免税店の出店を進めたほか、惣菜・加工食品の開発や包装肉工場の取扱い数量拡大に取組んだ。輸出拡大に向けて英国食品卸会社の買収を行った。畜産生産事業では、キャトルステーションの設置による労働負荷の軽減、農家採卵によるET受精卵の増産、多産系ハイコープ雌系種豚の普及など生産基盤の維持・拡大に取組んだ。飼料原料の調達力強化に向けて、海外関連法人によるブラジル穀物集荷・輸出会社との出資契約の締結など産地の多元化を進めた。

このうち販売事業では、JA農産物直売所での食肉販売を実施するとともに、各県での焼肉外食店舖(4店舗)と空港内和牛免税店(1店舗)の出店を行った。さらにミートデリカ工場を新設、惣菜・加工食品の開発・販売拡大、需要増加に対応した包装肉工場の取扱い数量拡大(1万3,530t、前年度比4%増)に取組んだ。英国での需要開拓に向けた食品卸会社の買収や国産畜産物の輸出拡大に取組み、牛肉の輸出量は前年比16%増の313tとなった。

17年3月の臨時総代会で決めた「農林水産業・地域の活力創造プラン」に掲げられた輸出事業では、年次計画に沿って国内では輸出用産地づくり、海外では輸出拡大に向け営業を開始したことが報告された。すでに4月に輸出対策部を新設、輸出実務をJA全農インターナショナルに集約し、拡大に向けた取組みをスタートさせた。輸出先では、前述のように買収した英国の食品卸会社(sFG)に日本食材営業専任者の配置、台湾での市場調査に基づく販売見込み先リストを作成し営業を開始した。中国(上海)では、アンテナショップやeコマース機能を持つ現地販売会社の設立に向け提携先と協議を進めている。

さらに新たな需要の掘り起こしへ、相手国のシェフ向け和牛のカッティングセミナーや消費者向け試食会を開催し、和牛と日本食・日本酒の良さを体験してもらい、認知度の向上を図っている。現地の中食・小売企業との連携に向けた中食・小売企業の調査を開始した。また日本版sOPEXAである新組織JFOODOとの連携方策の協議を開始した。