7月の牛肉需給展望 焼材が動き始めるが、量販店での訴求少なく盛り上がらず 、和去A5で2,850円前後、A3で2,150円前後か
7月の相場は、和去A5はブランド牛が引っ張り前月比で17円上昇したものの、全体的に盛り上がりに欠け同A4で45円安、A3で57円安と各等級で下げた。6月は不需要期ながら出荷頭数が少ないことでこの時期にしては高値を付けたが、7月はこれを下回る結果となった。8月は旧盆手当が入るため相場が上昇する時期で、特に和牛・交雑に引合いが入ると期待されていた。だが、今年は高値が続く牛肉が嫌われ、相場自体もほぼ7月並みにとどまると見込まれる。量販店のチラシでも、和牛・交雑だけではなく、輸入チルドも含め牛肉全体の訴求が少なくなっている状況だ。このため和去A5で2,850円、A3で2,150円と見られる。
8月の見通しでは、農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は1.5%減の8万2,300頭と見込まれる。ただ、生産量では枝肉重量が増加しており、0.3%減の2万5,600tとほぼ前年並みの水準を見込んでいる。輸入牛肉は同機構の予測では、チルドの7月輸入量は7.0%増の2万2,500t、8月が10.9%増の2万1,700tと予測している。
関連して、米国産チルドビーフの7月生産・8月入荷分の成約では、ショートプレートで830円前後、チャックアイで1,150円前後と前月並の高値となった。今回は、8月の需要期入荷分ということで、手当ての状況が注目されたが、1週から2週分は量販店が「販売する分」(販売が見込まれる分ではなく)の手当てにとどめたことでタイトだ。とはいっても、一定量の物量が入っており、この分が和牛や交雑に移行することはなさそうだ。
消費面では、梅雨明け後、焼材を中心に動き始めているが、期待したほどではなく、盛り上がりに欠ける。量販店のチラシを見ても牛肉の訴求は国産・輸入とも極めて少ない。国産と輸入牛肉の高値を嫌った量販店が、牛肉から豚肉、鶏肉に移行したことも想定される。一部量販店ではホルスの販売をチラシに掲載しており、極端に引合いが多いわけではないが、例年、学校給食が休みに入れば、ホルスがだぶつく状況だったが、今年はごく普通に動いているという。これは前述のように、米国産チルドビーフが高値となっていることが背景にあると見られる。結果的に、米国産の高値の影響は、価格帯が上の和牛・交雑ではなく、ホルスのごく一部と、豚肉や鶏肉に移行したと見られる。