「秋の日米経済対話に期待」と藤崎前駐米大使-USMEF40周年セミナー

米国食肉輸出連合(UsMEF)は7日、「日本事務所開設40周年記念トレードセミナー」を開いた(一部既報)。約700名の業界関係者が参加した。セミナーでは、最初に、前駐米大使・上智大学特別招聘教授の藤崎一郎氏(写真㊤)が、「日本の外交における現在と今後の展望」と題し、トランプ大統領の就任やsG発動など環境が変化する中での日米関係について、過去との違いを踏まえ今後の展望を示した。藤崎氏は、「現状では米国の輸出する牛肉の22%が日本向けだ。8月から冷凍牛肉の関税が50%に引き上げられた。これはガットウルグアイラウンドで38.5%に引き下げる代わりに一定量を超した場合、自動的に発動されるsGが導入されたことによる。しかし、豪州は日豪EPAによって変わっていない。米国国内に不満があることは承知しているが、もし米国がTPPに入っていればこの緊急措置はかかっていなかった。米国のTPP離脱は、地域の安定だけではなく、米国の経済に影響している。一方、米国での和牛人気により、関税枠を超し2次関税が適用され、日米お互いにsGがかかっている状況だ。しかし日米関係で重要なことは、個別の産品だけではなく、大きな自由貿易を公正なルールで行うこと。そのために麻生副総理、ペンス副大統領との枠組みができ秋に会合(日米経済対話)がもたれる。双方が歩みを合わせることが期待される」と、sGを含めた現状を概観した。

その上で、今後の方向について「TPP離脱、パリ協定の離脱は大変心配する向きがある。もちろん大事だが、協定テキストが合意された段階であり、経済の土台が緩んだわけではない。米国の歴史をみると、“米国の過ちは、自身が矯正する。我々はそれを待つことが必要”との言葉がある。これは100年前のイギリス大使の言葉だ。いずれ米国は、再検討するかもしれない。TPPを11カ国で進め、米国が戻ろうとした時に、ドアを開けるのが日本のスタンスだろう」と述べた。