「受託拒否の禁止などを除きゼロベースで見直すべき」、卸売市場の見直しで意見 卸売市場の現状と課題で規制改革推進会議と未来投資会議が合同会合
政府の農業競争力強化プログラム(昨年11月29日決定)では、生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立として、「経済社会情勢の変化を踏まえて、卸売市場法を抜本的に見直し、合理的理由のなくなっている規制は廃止する」との文言が明記されている。さらに今年8月の農業競争力強化支援法でも農産物流通等事業にかかる事業環境の整備、農産物流通等事業にかかる事業再編・事業参入の促進、農産物の直接の販売の促進――などが盛り込まれている。これらを踏まえ、同合同会合で議論が始まったもの。
現状と課題については農水省の井上宏司食料産業局長が説明した。それによると、食品流通を取り巻く情勢では、生活様式の変化による消費者ニーズの変化により加工・小分けなど簡便化需要が増加、コンビニやネット通販の伸張と販売チャネルの多様化、物流業界の人手不足の深刻化、卸売市場にのみ様々な規制がありシェアは低下している。
卸売市場流通に絞ってみると、1980年と2015年を比べた場合、セリ・入札割合は食肉で86.4%が87.2%、相対割合は13.6%が12.8%と極端な変化はないが、青果ではセリ・入札が76.4%から10.6%、相対が23.6%から89.4%、水産ではセリ・入札が41.7%から17.1%、相対は58.3%から82.9%と、セリ・入札割合は青果、水産で大きく低下している。また中央卸売市場では、卸売業者に対し、出荷者、仲卸業者、売買参加者への差別的な取り扱いと、受託拒否を禁止している、などの説明があった。
これらを踏まえた議論では、「セリ・入札割合は、青果・水産で低水準であり、市場数、業者数とも減少している。最終的な引き取り先として生産者の立場から望ましいとの声のある受託拒否の禁止、スピーディーな代金決済を除けば、抜本的に見直すことが必要」、「現行法制度を前提にした見直しで足りるのか、そうした次元ではなくゼロベースでの見直しが必要」、「通信販売が伸びる中で、これを見据えない改革はあり得ない。その部分の連携が必要」、「市場流通は細っているが現実的に物流はある。どんな役割を担っているかはっきりさせるべき」、「生産者のオプションとして直接販売も可能にするなどの位置付けも必要」などの意見が出された。
〈畜産日報2017年10月26日付より〉