住商フーズがトルコ産鶏肉の輸入開始、骨なしモモなど年間6,000tの輸入を計画
トルコからの鶏肉輸入が9月29日に解禁となったが、住商フーズは同国で1日当たり18万羽の処理羽数を誇るハスタブック社(HasTavuk)からの輸入を決め、日本での提案を開始した。
同社のサンプルは8日に通関され、これがトルコ産鶏肉の初荷となる。同社のムジャダット・セザール会長、ムスタファ・イルマズ輸出部長が13日に来日し(=写真、右からセザール会長、イルマズ輸出部長)、外食、加工メーカー、量販店などへの提案を開始した。住商フーズでは、年間6,000tの供給を目指す。
住商フーズでは、トルコ産鶏肉の解禁をにらんで、日本向けの規格をクリアできるサプライヤーを探していたが、インテグレーションと衛生的な最新工場で高品質な鶏肉を供給でき、100%ハラル対応しているハスタブック社をパートナーに選んだ。
トルコの2015年の鶏肉生産は170万7千tで世界第9位、輸出量は28万5千tで同第6位となる。CIS各国(旧ソ連)や中東に輸出され、品質などで競争力は高い。ハスタブック社(Bursa 工場)は1972年に設立され、トルコの中では歴史があり、給餌ミル、鶏の孵化から加熱加工まで一貫生産を行う鶏肉インテグレーションだ。日本向け処理工場に同工場が認定されたが、同工場は2013年稼働の最新施設で、真空包装機、急速凍結設備を持っている。1日の処理羽数は18万羽(週6日稼働)、年間では10万tの処理量となる。
輸出は中東がメーンとなっている。鶏種はCobb65%・Ross35%。成鳥の重量は1羽2.2~2.4kg、飼育日数は42~45日。成長ホルモン剤不使用で、飼料は植物性のみを与えている。また親鳥の供給ではトルコ国内で最大手となっている。従業員は2,000人、契約農家が約1,000戸あり、これを含めれば7,000人が働く。トルコ国内の全産業で上位250社に入る企業だ。認証はBRC認証(英国小売協会)、HACCPなど。
ムジャダット・セザール会長は14日、本紙にトルコの鶏肉産業について、「トルコ全体では、10年前は中東など5カ国しか輸出していなかったが、現在は55カ国へ輸出している。日本市場は規格が厳しいが、日本向けのビジネスができたことは他の国に輸出する場合にもメリットとなる。対日輸出ができないなかでも、日本市場には注目していた。今回、輸出が解禁になったが、他の輸出国のように数量と金額だけを追うのではなく、日本のマーケットに受け入れられ、満足される商品を作ることに自信を持っている」と説明した。
その上で、「住商フーズは、外食、量販店、加工メーカーとコンタクトを強くしており、日本市場が求める規格をよく理解しており、一緒に対日輸出に取組むこととした。トルコ産チキンは、はじめて日本市場に入るが、日本の規格を十分理解し、求められる商品を提供したい。日本市場はトルコと似ており、グリル、唐揚げなどが好まれており、これらがヒントになると考えている。2020年は東京でオリンピックが開かれ、観光客が大勢訪れる。イスラム系の訪日客も多く、そこでは100%ハラルの当社のチキンは優位性がある。当社は、イラク、サウジアラビアなど厳格なハラルにも対応している」と、対日輸出に自信を見せた。
トルコ住友商事イスタンブール本社・須永崇太食品部長は、トルコ産チキンを輸入するメリットやハスタブック社の取組みについて、「トルコはイスラム教圏であり、ハラル対応が可能だ。その中でもハスタブック社は、長い目で組んでいける相手と判断した。新たにトルコ産として紹介するに当たり、一つひとつクリアしていく。最初はニーズのあるモモで、規格をしっかり作り提供していく。さらに切り身にしたり、ムネ肉の販売も考えていく。トルコでは、ケバブや手羽などモモ以外の消費が多い。自国内の消費にかからないモモの販売は、両国にとってメリットがある。また自国向けにもムネ肉がはける。そのため骨なしモモ(ボンレスレッグ)の販売を先行させる。同社は、日本スペックへの対応が可能だ。今回、サンプルを持って顧客に提案を行っているところであり、12月生産からスタートさせたい」と述べた。
〈畜産日報2017年11月17日付より〉