〈第47回食品産業技術功労賞〉ニチレイフレッシュ「オメガバランス」ミートで食肉の健康価値を創造
ターゲット層は50~60歳台のシニア層と、健康意識が高い層をメーンに据え「栄養プラス美味しさ」にフォーカスを当てた新市場を開拓している。また、改正食品表示法によりn‐3系脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)を商品に謳う場合は栄養成分表示が必要となった。このため、生鮮食肉では例がなかった「栄養が見える食肉」として、食肉の栄養成分に対する生活者の関心に応えることが可能になった。
ニチレイフレッシュは、栄養と美味しさを両立した新たな食肉ブランド「グッドバランスミート」を提唱しており、「オメガバランス」はその第一弾となる。今後も第2、第3のシリーズを開発し、食肉についても「健康」を意識した選択ができることを生活者に認知してもらうことで、新たな食肉カテゴリーとして市場の拡大発展を目指してゆく方針だ。
ニチレイフレツシュ 常務執行役員畜産事業部長 冨樫幸男氏
〈販売向け「オメガ3」の認知図る〉
「オメガバランス」ミートの開発がスタートしたのは12年前。当時「オメガ3系脂肪酸」「アマニ」といった言葉は一般にほとんど知られていなかった。商品を販売するためには、まずは取引先にこれらの言葉を知ってもらおうと、日本アマニ協会をはじめアマニに関わる他の食品メーカーや関係団体と協力して認知を広めるところから始まった。
魚とは異なり食肉からオメガ3系脂肪酸を摂取するという概念はなく、技術的に家畜にα‐ノレン酸を含む亜麻仁由来成分を飼料に配合して育てると肉に移行することは知られていたが、オメガ3系脂肪酸は酸化し易いため、酸化防止のための加工を施し油脂会社と共同で試験を重ねてきた。ここに至るまでは長年にわたる諸先輩方の苦労の積み重ねと関係者の努力の賜物だ。
オメガ3系脂肪酸を商品に謳う場合は栄養成分表示が必要なため、ロースやバラなど部位ごとに栄養素を調べ、その含有量を表示している。「栄養素が見える安心のお肉」として、取扱先からもそれをうたいたいというところも増えている。今後も積極的なPR活動や他の食品メーカーなどとのコラボも通じて認知を広げてゆきたい。
〈食品産業新聞2017年12月4日付より〉