厚労省がBRF3工場の貨物に自主検査を通知、国内市場は平静
ブラジル政府によると、14年から15年の間に民間の検査施設や食肉処理施設がサルモネラ属菌の検査結果を改ざんしてブラジル農務省に報告していたという。厚労省によると、これまでに日本向けに輸出された製品は不正がなかったことをブラジル政府に確認しているが、あくまで“念のための措置”という。厚労省では、今後、ブラジル政府からの情報や、これら輸入時検査の結果などを踏まえ今回の体制を見直す方針。また、一連の対応についてはQ&Aで広く周知している。
一方、今回のブラジル現地報道が明るみになって以降の国内輸入鶏肉マーケットは一部現物の唱えが強含んでいるものの一週間が経ち概ね平静を保っている。玉不足のなか現地不正問題で現物相場が上昇した前年の同時期とは状況が大きく違う。今年1月末の推定輸入在庫が15.1万t(前年同月比31.8%増)と多い中、供給量もブラジル現地の船積みは2月こそ2.8万t(同3.6%減)と3万t を下回ったが、1月は3.5万t(同2.6%増)あり、またタイからの輸入量も月間1万t規模となっている。
実際に国産を含めた現物の荷動きも弱く、相場が跳ねるどころか在庫をいかに減らしてゆくかが、国内プレーヤーの目下の問題となっている。一方、今回、検査対象となったSIF1001工場は月産3,500~4,000t規模の大規模工場であることから、今回の現地報道を受けてか、現地の他のパッカーにも動きが現れており、一部パッカーではオファーを取り下げ、別のパッカーでは4月積みの生産玉についてやや強気のオファーを示しているもよう。
とはいえ、日本サイドにとってみれば、「国内在庫が多く、在庫調整が必要になってくるため、強気のオファーを出してもそんなに買い切れない」(卸筋)、「かりに工場を代えるとしてもそんなに生産量を増やせる状態ではない。それでも(末端が)先物を押さえたいのであれば、(現地の強気のオファーを)受け入れるしかない」(商社筋)とする声が出ている。