アグロスーパー、日本の顧客と長期的なパートナーシップ戦略を重視、サステナブルの取組みも評価

アグロスーパー社屋
〈企業ロゴを一新し、ブランドイメージを強力に訴求〉
チリ最大の総合食品メーカーのアグロスーパー。世界66カ国以上に年間97万tもの豚肉・鶏肉・ターキー(七面鳥)などを供給している同社の最大の特徴は、各品目ともに創業当初から100%垂直統合システムが構築されている点にある。

とくに、養豚は飼料調達から飼育、食肉加工、輸出、販売までの全ての生産工程を自社で手掛けることで、安全性の確保や製品の高品質化と安定化、そして各市場のニーズを迅速に製品づくりにフィードバックできる優位性がある。

日本市場への豚肉輸出は23年もの実績を誇っている。その対日向けビジネスの方針は、単なる売買の関係ではなく、同社のブランド「アグロスーパー・ポーク」の品質を評価し、ともに長期的に安定して取り組んでいく “パートナーシップ”をつくることを重視している。なかでも2019年は、欧州やアジアでのアフリカ豚熱の影響で市場が不安定になるなか、日本事務所であるアンデス・アジア(東京・港区、髙宮アンドレアス執行役員)と本社が連携して顧客サポートに注力した。

とくに、中国は従来の骨、頭、脂、内臓などの副産物に加えて、長年日本が購入してきたウデ・モモ・バラなど部分肉の買い付けも急増した。だが、アグロスーパーでは中国向けには1カ月当たりの一定数量の輸出制限を設けることで、長年の付き合いのある日本の顧客向けに安定供給する体制を維持してきた。こうした厳しい環境にありながらも、顧客とのパートナーシップを重視した姿勢を貫くことで、2019年の対日輸出量も前年比4.4%増と、3年連続で前年実績を上回った。

さらに、主要な取引先である地方のハム・ソーメーカーや業務用卸、外食事業者それぞれの要望を聞きながら順次規格の見直しを図っており、「アグロスーパー・ポーク」品質の良さ・安定性の高さが評価され、継続して取り扱ってもらうようになったことも、数量・金額ともに伸ばす要因となったといえる。

現在の養豚事業は、チリ国内に計5カ所の農場を構え、総飼養頭数は母豚ベースで13万5,000頭に上る。と畜・加工は2工場体制で、1日当たり1万4,000頭に達している。また、養豚場では畜種改良や飼養管理の改善で母豚の平均産子数は29.7頭まで向上しているほか、工場の操業も品質レベルを維持しながら生産効率を高める努力を払っており、毎年1%以上の生産増加を実現しているという。

また、長年の対日輸出実績と一貫生産体制の優位性を生かし、品種は母系にラージホワイト(雌)とランドレース(雄)を交配したケンボロー種(雌)にデュロック(雄)を掛け合わせた「ケンボロー22」を雌種豚に、父系のデュロックを交配している。日本人好みの柔らかくジューシーで、繊維も細かく、赤身と脂のバランスが非常に優れた品質が、メーカーや外食などの取引先から高い評価を得ている。

さらにここ数年は、「アグロスーパー・ポーク」そのものの品質・規格だけでなく、創業以来取り組んでいるサステナブル・ビジネスやトレーサビリティ、成長ホルモン剤の不使用といった取組みや透明性といった企業姿勢についても顧客からの関心が寄せられており、こうしたアグロスーパーの大きな強みとしてアピールしていく方針だ。

今年も、これまでと同様に長期的なパートナーシップを重視した戦略を掲げ、日本事務所を通じて、それぞれの顧客ニーズに対応し、さらに課題解決などに役に立てるサプライヤーを目指していく。メーカー向けにはロース、カタロース、バラの基本部位やシーズンドポーク、バックファット(背脂)などの規格の安定化を継続しつつ、スライス済みのバラなど一次加工品を充実させるほか、外食チェーンや総菜メーカーなどへの提案を強化していく。また、小売り向けに冷凍豚肉の販売やネット販売へのアプローチにもチャレンジしていく考えだ。さらに、豚肉だけにとどまらず、鶏肉やターキーなどもトータルで提案できるなど、総合食品企業の強みも発揮していく。

マーケティング面では企業ロゴを一新した。アグロスーパーのさまざまな商品や営業活動などで、ロゴを一目見るだけでアグロスーパーであることが分かるようデザインを統一し、適切にブランドイメージを顧客に伝えるようにした。

アグロスーパー企業ロゴ

アグロスーパー企業ロゴ

さらに、日本事務所では、アグロスーパーのブランド認知とカスタマー・ロイヤルティを重視し、バイヤーやシェフなど特定の顧客を対象としたプライベート説明会によるメニュー提案のほか、外食チェーンとのタイアップによるキャンペーンなど、パートナー企業のビジネス拡大に貢献するような、テーラーメイドのプログラムを展開してゆく方針だ。
 
◆アグロスーパー公式ウェブサイト
http://agrosuper.jp/