〈令和2年11月の需給展望 豚肉〉中旬にかけて中だるみも、460円前後で下げ止まりか
例年、10月から11月にかけて豚枝肉相場は年間通じて底値となり、11月後半から12月上旬にかけて徐々に回復して年末相場の展開となる。ただ、ことしは新型コロナウイルスによる影響でテーブルミートとしての豚肉需要は底堅く推移しており、3月以降、前年価格を上回る高値推移となっている。
10月は後半にかけて出荷頭数の増加に伴い、枝肉相場も下げパターンとなることが予想されていた。しかし、実際は中旬に上物税抜きで460~470円台まで下げたものの、その後、下旬に再び500円を超える展開となった結果、月間平均相場(東京市場、税抜き)は上物496円(前年同月比32円高)となった。
11月は需要自体は引続き堅調に推移することが予想される。気温の低下に加え、量販店では秋の収穫祭などの催事で鍋物需要もより一層、本格化すると見込まれる。とはいえ、頭数が増えてくる時期であり、3連休が明けて、出荷が増えてくる中旬にかけて相場は一時的に中だるみとなることが予想される。
しかし、ここ最近の豚価高を受け、各社、凍結在庫がひっ迫気味にあることから、相場が下がると凍結玉の仕込みの買いが入るなどして、下げたとしても460円前後の下げにとどまる可能性がある。このため、月間平均では上物税抜きで470~480円(税込み520~520円)と予想する。
〈供給動向〉
10月は後半にかけて1日の出荷頭数が7万頭を超えるなど徐々に出荷が増えてきたものの、6万頭台後半での推移が目立ち、例年と比べると伸び悩んだ。
農水省が10月19日に公表した肉豚生産出荷予測によると、11月の出荷は前年同月比2%増の144.6万頭と予測している。過去5年平均では平年並みで、19日稼働として1日当たり7万600頭前後となる見込みだ。農畜産業振興機構の需給予測では、11月の出荷は農水省と同様に144.6万頭で、生産量は8万100t(前年同月比3.3%増)と予測。
一方、11月のチルド輸入は引続き北米工場の稼働率低下によって供給量が限定的であることから、同9.9%減の3万2,800tと前年割れを見込んでいる。また、北米では入船遅れが発生していることから、しばらくはタイトな状況が続くものとみられる。
〈需要見通し〉
先月までの末端需要は家庭内消費に支えられ、基本的に堅調に推移した。ただ、10月は連休やこれといったイベントがなく、盛り上がりはなく落ち着いた消費動向となった。下旬からは本格的に秋めいた気候となってきたことで、鍋物需要に向けたスライス商材の動きが活発化。11月も秋らしい天候・気温が予想され、量販店でも秋の収穫祭といった催事や販促が予想されることから、より一層、鍋物需要が本格化することが見込まれる。
現状、バラの引合いが強く、市中在庫はひっ迫気味に。カタロースはバラが少ないこともあり、荷動きは確りしている。一方で、ロース、ヒレの荷動きは低調でアイテムによって動きにバラつきが生じている状況だ。しかし、上述のとおり、入船遅れなど輸入品の供給が不安定にあるため、量販店などでは引続き国産をメーンにした販促などが展開されることが予想される。
〈価格見通し〉
10月の月間平均相場(東京市場)は上物税抜きで496円と前年を30円強上回った。11月は同509円でスタートし、祝日が明けた11月4日の相場は同511円となった。月初の手当てなどもあり、前半は500円前後で推移することが予想されるが、3連休以降は同460程度の水準まで下がることが予想される。
しかし、凍結玉を仕込む動きや、下旬は12月に向けた発注への対応から、問屋筋の買いが強まることで持ち直してくるとみられる。今後の上場頭数次第ともいえるが、月間平均では上物税抜きで470~480円(税込み520~520円)と予想する。
〈畜産日報2020年11月5日付〉