【インタビュー】日清食品㈱・安藤徳隆社長①

即席ラーメン記者会はこのほど、4月に日清食品㈱の代表取締役社長に就任した安藤徳隆社長(写真)に共同インタビューを行った。安藤社長は1977年6月生まれの38歳。日清食品の創業者・安藤百福氏の孫で、日清食品ホールディングス㈱の安藤宏基CEOの長男だ。慶応大学大学院修了後に、安藤スポーツ・食文化振興財団勤務を経て、日清食品㈱に入社。マーケティング部門や海外事業を歴任し、現在は日清食品ホールディングス㈱代表取締役専務取締役・CMO兼日清食品㈱代表取締役社長を務める。

…………………………………………………
–まずは就任に当たって。
安藤 この年齢で、日清食品グループの中核事業会社の社長に就任した。やはり、社内外から求められることが、かなりはっきりしている。日清食品は創業57年。チキンラーメンが57歳になり、カップヌードルが44歳、どん兵衛・U.F.O.が39歳となった。グループ全体の利益を稼ぎ出すビッグブランドが、だいぶ高齢化しており、一般的なブランドライフサイクルからいうと危ない時期。しかし、当社はマーケティングに力を入れており、ブランドとしての寿命が尽きるというイメージはない。まだ鮮度は保てていると思う。そうはいっても、まず、「100年ブランドカンパニー」というものを目指したいと考えている。世界で100年残っているブランドを調べてみたが、そんなに面白いものは見つけられなかった。何とか生き残っているというものもある。創業者と今のCEOがブランドの付加価値を育ててきた。創業者は96歳まで会長として働いている。私もそこまで働くとすると後60年。そうすると創業100年を見ることはできるのではないか。「100年ブランドカンパニー」の礎となるブランドのてこ入れが必要だ。
当社の役員も50代から60代。10代の人が何に共感するかを理解するのは容易ではない。私の年でもかなり柔軟にとらえないと、10代から20代の人が何に共感し、チキンラーメン、カップヌードルを自分自身のブランドと考えてもらうかは、かなり難しい。ただ、それをしなければ、100年ブランドは達成できない。
もう一つ。CEOが日清食品の社長に就任したときに「カップヌードルをぶっつぶせ!」というメッセージを出した。これには創業者が激怒したという話がある。私は即席食品の新しい価値を考えなければいけない時期に来ていると考え、「Beyond Instant Foods」という言葉を社内外に示している。即席食品は日本ではイメージができあがってきている。創業者、先代が作ったコンセプト、そのコンセプトから離れられていない。その中で、手を変え品を変えてやっているが、即席食品の本質の価値は変わっていない。もっと価値を高め、超えていけるのではないか。今こそ社員全員で、「即席食品のイメージを変える」ということを考えたい。
日清食品は、国内でものすごく強いブランドを持っている。みんな一生懸命仕事をしているが、それは先輩たちが作ってきたシステムの中での話。そこを超えないといけない。就任の抱負、キーワードとして「100年ブランドカンパニー」、「Beyond Instant Foods」の2つを掲げた。
–経営者としての自分をどうご覧になりますか。
安藤 創業者が長生きしてくれたので、3年間まるまる鞄持ちをさせてもらった。毎日毎日、朝から寝るまで一緒で、寝付いてから隣のアパートに帰るという生活を続けた。あれは、洗脳しようとしていたんだと思う(笑)。日清食品の強みとして創業者理念があり、それはグローバルビジネスでも拠り所、強みといえる。いかに創業者の理念を残し、社員と共有するかが求められている。「安全・安心は絶対にゆずれない」ということはイヤというほど言われた。どんなにユニークな取り組みをしても、安全性のコストやコンプライアンスをおろそかにしてはいけない。そのベースがあり、私らしさを表現していかなくてはいけない。

詳細は本紙をご覧ください。