「どんな小さな産地でもブランド化はできる」=スズノブ・西島豊造社長講演①

既報(本紙15日付)の通り、東京農業大学総合研究所研究会は12日、都内で「稲・コメ・ごはん部会 発足記念セミナー」を開催。㈱スズノブの西島豊造社長(写真)が「産地を蘇らせるために ブランド米の必要性」と題し、要旨次の通り講演した。
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〈消費者の動向〉消費地では昨今、概算金が下がったことで米が売れるどころか、「本物ですか?」という不信感が出てきてしまった。関東では、過去にあった魚沼産の偽装事件のイメージが消えていない。何かトラブルがあるたびにそのイメージが戻ってきてしまうため、安くても売れなかった。お買い得なはずなのに疑問を持たれるのは、売り手としてつらいことだ。
消費者は、こだわりで買う人と値段で買う人の二極化が進んでいる。そして、スーパーの販売価格は限界まで安い。今年は若干上がったといわれるが、流通価格は上がっても末端価格は変わっていない現状だ。
  我々としては、コシヒカリはさすがに限界に近いという思いがある。日本中で作っているが、千葉産、茨城産、富山産の味の違いをどう表現できるのか。どういう味で作れば本当のコシヒカリの味なのか。それが表現できない。全ての情報を見ても、コシヒカリは粘りと甘みがあるとしか言えない。ひとめぼれ、ササニシキにしても当り前の情報しかなく、地域の差別化ができない。今までの売り方ではもう地域の活性化はできないということだ。
スーパー・量販店の消費者動向を見て、報われていると思うのは、つや姫、ゆめぴりか、さがびよりなど、新品種が出てきたこと。そういう物を求める人が増え、今まで5㎏1,500円前後の米を買っていた消費者が、2,000円前後まで買うようになった。ただし、スーパー・量販店はまだ5㎏、10㎏のまとめ買いが中心で、味が落ちていくことに無頓着な消費者が多い。対して、米屋の客は300gから1㎏、2㎏だ。保存の仕方を教えておくと、気分や料理によって米を変える。トータルの販売量が変わらなくても、中身を見ると何種類も買っている。これは、米が主食から嗜好品に変わっているということだ。産地活性化のためには、産地にも米は主食でなく嗜好品だと思ってもらわねばならない。量・品質だけではなく、それに伴う情報を詰めて、初めて使い物になる。

詳細は本紙をご覧ください。