【小麦粉二次加工食品特集】
▽パンの小麦粉使用量 食パン微減も菓子パン微増
▽パン粉 生パン粉が微減、家庭用乾燥好調
▽チルド麺 「中華・ゆで」引き続き拡大傾向
▽冷凍麺 年間生産食数、家・業計16%増
〈パン〉農林水産省の食品製造業の生産動向によると、2016年1~5月のパンの小麦粉使用量は前年同期比1・3%減の52万3963t。食パンでは微減が続いており、1・5%減の25万6167t、菓子パンは微増が続き1・4%増の17万1952tとなった。食パンは2013年から高価格帯の新製品投入が続き、生産量の増加が続いていたが、2015年に入ってから横ばい~微減という傾向。菓子パンは新商品投入などで微増傾向となっている。
パンカテゴリで共通するのは単価の上昇だ。家計調査によると、2014年初旬からパンの平均価格は前年同月を上回る傾向が続いている。加えて、2015年7~8月に大手パンメーカーが一部商品の値上げを実施。「流通からの理解は早い段階で得られた」という声が多い。
チョコレート、バター、果実など、こだわりの食材を使用する取り組みが続けられている他、国産小麦を使用した商品も増えてきた。敷島製パンのゆめちからを使用したシリーズなど、定番商品となるアイテムも増えており、拡大が期待される。
〈パン粉〉食品製造業の生産動向によると、年間の生産量は約15万tのところを横ばいで推移している。1~4月では、生パン粉が微減となったが、乾燥パン粉が増加している。家庭用の乾燥パン粉の販売が好調だ。一方、水産物の価格が上昇していることから、冷凍フライ向けの業務用パン粉は厳しい環境にある。デリカ向けは動きが良い。
2015年8月には各社が値上げを実施。「以前よりも理解してくれる流通が多かったが、交渉が長引く場合もあった」とされる。
〈チルド麺〉食品製造業の生産動向によると、小麦粉使用量は2015年に60万tを突破し、2016年も拡大を続けている。うどん、そばも伸びているが、上げ幅は中華麺が大きい。直近では拡大を続けていた「中華麺・蒸しめん」が失速したが、「中華麺・ゆでめん」は引き続き拡大傾向にある。
伸びているカテゴリは「簡便」と「本格」だ。シマダヤの「流水麺」など、簡便さを追求した商品が伸びる。一方、茹で時間が長い生うどんや生そばが好調に動く場合もあり、「簡便さを必要とする若い世代、手間がかかってもおいしいものを食べたいシニア世代」と、2極化が進んでいるのではないか」との指摘がある。
〈冷凍麺〉日本冷凍めん協会によると、2015年(1~12月)の冷凍めん年間生産食数は、業務用+家庭用の合計で前年比16・8%増の18億7402万食。協会設立後初のマイナスとなった前年(7・0%減)からのプラス回復。ただ、2014年は消費増税前後の出荷増減に伴う影響や、調査対象企業の出入りの影響などもあり、「統計数値が実需とかい離した」との声もあった。前々年の2013年と比較すると、2015年の合計食数は2年間で8・6%増となる。
業態別でみると、業務用は前年比6・0%増の10億3200万食と伸長し、初めて10億食を突破。前年に統計上2桁減だった市販用は33・5%増8億4202万食と大きく増えた。
〈原料原産地表示〉農林水産省と消費者庁は「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」(森光康次郎座長)を開き、加工食品の原料原産理表示制度について論議を進めている。この秋には中間とりまとめをする予定だ。自民党の農林水産業骨太方針策定PT(小泉進次郎委員長=農林部会長)が、「すべての加工食品について、実行可能な方法で原料原産地表示を表示し、国民の日々の選択が、日本の『食と農』を支える社会をつくる。」という決議をしており、今後の議論への影響が懸念される。
製粉協会は検討会で「小麦粉への原料原産地表示適用の『実行不可能性』」と題して報告を行っており、小麦粉を使用する小麦粉二次加工メーカーも基本的なスタンスは一緒だ。日本パン工業会も「農水省の担当部署に説明し、実行不可能であることをご理解いただいている」と報告している。
▽原料原産地表示 協会・メーカー「実行不可能」
▽制パン各社の動き 平均価格、毎年上回る傾向
▽家庭用パン粉の販売好調