【需給俯瞰】主食用米の需要量見通し、算出方法見直し6万t下方修正
これまで需要量実績からトレンド(回帰式)で弾き出していた需要量見通しは、〈1〉平成27年産以降、米価上昇が続いていることのほか、〈2〉長期的な視点として2008年(平成20年)をピークに人口が減少局面に入ったことが影響している――ことから算出方法を抜本的に見直した。まず平成8/9年から直近まで22年間の需要量実績を当時の人口で除して1人あたり消費量を弾き出し、ここからトレンドで(ここは変わっていない)2か年の1人あたり消費量を推計。それぞれの推計人口(総務省の人口推計と国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口)を乗じて2か年の需要量見通しを弾き出した。これにより直近の平成30/31年の需要量見込みは736万tになるが、「平成30年産の相対価格が29年産に比べ上昇していることが需要量に及ぼす影響を踏まえて」▲1万t補正し、735万tとした。
需給見通しは、まず昨年7月~今年6月の需要実績(確定値)を7月指針のまま据え置き740万t(739.6万t)とした上で、今年6月末在庫(確定値)も修正なく190万tのままとした。平成30年産米の(主食用等)生産量は10月15日現在作柄に基づく733万tを当てはめた。合算して平成30/31年(7~6月)の総供給量は923万t(前年同期比7万t減)となる。ここまでは例年通りだが、平成30/31年の需要量見込みを6万t下方修正の735万t(同5万t減)とした結果、来年6月末在庫も188万tとなる見通し。平成31年産米の生産量、一昨年までの生産数量目標に相当する部分は、718~726万tと幅を持たせた。
なお、いわゆるTPP11の発効に伴いオーストラリア産がSBSで当初3か年6,000t入って来ることに加え、発効直後の初年度(今年度)は4か月だけかかってくるため月割した2,000tが来年3月末までに入って来ることが確定している(実際にそれだけの量が入って来るかどうかは別問題)。「影響を遮断する」と公言していたため、平成31年産政府米の買入数量は1万t増の「21万t」(20.9万t)とした。ただし最古米24年産在庫のエサ処理量は4~12万tに抑える。
〈米麦日報 2018年11月29日付より〉