令和2年産米の食味ランキング、「特A」過去3番目の53銘柄
(一財)日本穀物検定協会(井出道雄会長、伊藤健一理事長)は3月4日、令和2年産米の食味ランキングを発表した。
対象は154産地品種銘柄(令和元年産155銘柄、平成30年産154銘柄、平成29年産151銘柄)で、最高ランクの「特A」にランクインしたのは、過去3位の53銘柄となった。4年連続で入れ替わりの激しいランキングとなり、「特Aの銘柄数自体はほとんど変わっていないが、『A』→『特A』は12銘柄(前年18銘柄)、逆に『特A』→『A』は15銘柄(21銘柄)など、昨年ほどではないものの、中身には相当な変化があった」(井出会長)というのが穀検の評価。なお、『B』以下は平成18年産以降、15年連続でゼロ更新となった。
154銘柄のうち、令和元年産から令和2年産にかけて評価に変化がなかったのは92銘柄(前年86銘柄)で、内訳は「特A」36銘柄(33銘柄)、「A」44銘柄(38銘柄)、「A’」12銘柄(15銘柄)。
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ランクアップ26銘柄(34銘柄)の内訳は、「A」→「特A」12銘柄(18銘柄)、「A’」→「特A」2銘柄(2銘柄)、「A’」→「A」12銘柄(14銘柄)。ランクダウン27銘柄(33銘柄)の内訳は、「特A」→「A」15銘柄(21銘柄)、「A」→「A’」12銘柄(12銘柄)。ランクアップ銘柄数がわずかながらランクダウン銘柄数を下回った。このほか前年産非対象が5銘柄(主に山形の地区変更によるもの)、全くの新規対象も4銘柄あった。
このうち、「特A」53銘柄の内訳は、前年「特A」36銘柄(33銘柄)、前年「A」12銘柄(18銘柄)、2階級特進の前年「A’」2銘柄(2銘柄)、前年非対象2銘柄(0銘柄)、新規1銘柄(1銘柄)。このうち前年「A’」だった「愛知(三河中山間)ミネアサヒ」が「特A」に入ったことで、「特A」獲得経験のない産地は和歌山だけとなった(東京、大阪、沖縄は対象外)。
また産地品種として「特A」を初獲得したのは「山形(庄内)雪若丸」、「埼玉(県北)彩のきずな」、「埼玉(県西)彩のきずな」、「愛知(三河中山間)ミネアサヒ」、「鳥取コシヒカリ」、「長崎なつほのか」の6産地品種。「特A」53銘柄は対象154銘柄の34.4%にあたり、この「特A率」でも3位の結果となった(令和元年産34.8%、平成30年産35.7%、29年産28.5%)。
これまで「特A」の常連だった「東北の主要銘柄、具体的には秋田こまちや岩手・宮城ひとめが『特A』を獲れなかったのも、今年の特徴の一つ」(井出会長)。
「東北の令和2年産は作柄が芳しくなかったわけではない。逆に芳しくなかった九州を中心とした西日本は『特A』に数多く踏みとどまっている。このことからも毎年言っているが作柄と食味の間に必ずしも相関関係は見いだせない」(梅林政德理事)。
ちなみに「特A」から「あきたこまち」が姿を消したのは平成23年産以来9年ぶりの出来事。また井出会長は「毎年同じことを言っているが、『特A』の分割、あるいは『特A』の“上位”ランクの新設、もしくは基準米の変更は考えていない。取引の基準になりかけているのにモノサシを変えると消費者に混乱をもたらす。例えば『特A』をとらないとスーパーの棚から下ろされるかのような噂すら聞く」、伊藤理事長も「定着しているので、こちらで勝手に変えられない。変える必要性がない」としている。
昭和46年産米から始まった穀検の食味ランキングは、今年でちょうど50回目。現在は穀検が選抜訓練した専門の評価員「食味評価エキスパートパネル」20名により、白飯の「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目について、「複数産地コシヒカリのブレンド」を基準米に、これと試験対象産地品種を比較評価する「相対法」によって実施している。基準米と同等なものを「A’」、良好なものを「A」、特に良好なものを「特A」(平成元年産から設置)、やや劣るものを「B」、劣るものを「B’」とランクづけしている。
〈米麦日報2021年3月5日付〉