NEXCO東日本本社で「スワンベーカリー」出張販売会、障がい者の就労応援

「スワンベーカリー」出張販売会に参加する小畠社長(中央)
東日本高速道路(株)(NEXCO東日本、小畠徹社長)はこのほど、(株)スワン(江浦聖治社長)が運営する「スワンベーカリー」の出張販売会を本社で開催した。

「スワンベーカリー」は、障がいのある人々が働き、自立と社会参加の実現を目指すベーカリーだ。(株)スワンは1993年に故・小倉昌男氏が設立した「ヤマト福祉財団」が始まり。小倉氏は、障がい者が作業所で得る給料が少なく、自立には程遠い現状に疑問を持った。

そこで「月給10万円以上払うことを実践する『焼き立てのおいしいパンのお店』」を開くことを決意。「アンデルセン」「リトルマーメイド」を全国展開する(株)タカキベーカリーの協力で、「スワンベーカリー」をオープンした。1998年に銀座で1号店をオープンし、現在は直営5店、フランチャイズ23店を展開する。350人以上が働き、経済的自立と社会参加を果たしている。

NEXCO東日本は“高速道路と福祉が連携して幸福を広げていく”「高福(幸福)連携」を掲げ、地域活性化と障がい者の就労支援を実施。これまでにも、SA・PAの清掃や植栽作業を就労の場として提供してきた。そんななか、2020年にコロナ禍の影響でテレワークが普及し「スワンベーカリー」はオフィス街での販売額が激減した(赤坂店では8割減)。

このことを知ったNEXCO東日本は、地元の障がい者の就労支援を促進しようと出張販売会の開催を決めた。2020年11月の第1回では、244個を売り上げた。その後も販売会を継続し、今回で8回目を数える。この取り組みは、SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」への貢献にもつながるとしている。

今回の販売会には約20種類のパンが並んだ。大勢のNEXCO東日本社員が列を作り、一人で何個も購入する姿も多く見られた。「社員からは『会社の中でおいしいパンが買えるのはありがたい』と好評で、ほとんど毎回売り切れている。『高福連携』はうわべだけの取り組みではなく、内実が伴わなくてはならないと思う」(担当者)。

小畠社長もパンを購入し、「出張販売会は今回8回目で定着してきている。この取り組みは非常に良いことだ。『支援』というよりは、お互いにメリットのあるWIN-WIN の関係だと思う」などとコメントした。「スワンベーカリー」の高山武重部長は、「私どもは200種類以上のパンを扱っているが、今回販売した中では『ハッピークリームパン』と『ショコラ』が人気商品だ。個人的には、『ミルク食パン』がおすすめだ」と語った。両社は今後も出張販売会を続けていく考えだ。

〈米麦日報2022年4月12日付〉