調味料市場、“個人対応”商品増える
調味料市場では少人数・個食対応が進んでいる。個食用の鍋つゆや麺用ストレートつゆ、小容量の醤油、味噌、濃縮つゆ、ぽん酢、焼肉のたれ、マヨネーズ、ドレッシングなどが普及してきた。また、減塩醤油や野菜摂取を進める調味料など、健康を切り口にした商品も好調だ。さらには多様化する個人ニーズを掴むため、容器、健康に加え、アジアンテイストなど“個人対応”も今後のキーワードとなりそうだ。
先ごろ発表された2015年国勢調査の世帯状況集計によると、1世帯人員は10年調査に比べて0・03人減の2・39人に低下した。その反面、世帯数は3・5万戸増え、5187・7万戸に達した。うち1人世帯は1684・5万戸(10年調査比6万戸増)、2人世帯は1452・1万戸(39・5万戸増)。人口の約37%が2人以下の少人数世帯となる。
また総務省の家計消費では「2人以上の家庭」の家族人員が16年についに2・99人と3人を割った。2世代同居世帯でも着実に人員減少が進んでいる。
調味料市場においては、国勢調査や家計調査を待つまでもなく、ここ数年、少人数・個食対応が進んできた。少人数対応としては、封切り後の使い切り期間を短くするため、内容量の減少がある。マヨネーズ、ドレッシング、醤油、味噌、ジャム、風味調味料などすでに定着化している。これらは世帯の少人数化を意識したものだが、さらに個包装で1人用にも対応した商品も増えている。
代表的なのが鍋つゆの乾燥品や濃縮タイプ。人数分使って家族だんらんの鍋メニューができる一方、一人鍋にも対応した。すでに鍋つゆ市場の20%程度を占めるとみられる。
また今期の新製品で目立つのが麺用の個食タイプ。具入り、具なしを含めパウチが主流で、単調になりがちな夏の麺をおいしく、あるいは栄養バランスよく食べられるようにした。ただ参入メーカーが多く、その分、市場は成長しているが、大ヒット商品に恵まれず、市場規模はまだ小さい。
醤油については鮮度訴求容器が金額・個数とも約3割に達しているが、最近目立つのが150~200mlの小容量タイプ。一人世帯のつけかけ需要でも新鮮さを十分楽しめるという配慮からだ。
こうした容量や容器だけでなく、多様化する個人ニーズに対応した商品が静かに浸透している。1~2人世帯ではもちろん、3~4人世帯でも主婦の昼食や成長した子供の個食は珍しくない。個食対応だから家族の最大公約数的な味つくりよりも、個人を意識した商品戦略となる。アジアンテイストのドレッシング類やメキシカンのソースなどその辛さや独特のスパイスに感動を覚える個人を狙ったものだ。
また健康訴求に対応した減塩タイプは醤油、味噌、つゆ類、ソース、ケチャップなどに数多く見られる。メタボ対策が必要な中高年男性が主なターゲットだが、特に醤油は「家庭内での個人的使用」という新しい切り口もあって、醤油では唯一伸びているカテゴリーとなる。低カロリーはマヨネーズ、ジャム、ドレッシングなどに多い。
野菜摂取に関しては、マヨ・ドレ、ソースなど洋風調味料が主役だが、野菜を多く摂れるように配慮したメニュー用調味料も好調だ。青果売り場との連動販売が成果を上げていることから、トマトをメインにした青果売り場専用品がカゴメから発売されている。